河村悟「木洩れ日に傷つく蟲の悲鳴あり」(「俳句展望」第26号より)・・
「俳誌展望」第26号(全国俳誌協会)、巻頭の連載稿に秋尾敏「『俳誌展望』を読む」がある。それには、
(前略)第二号には、昭和四十八年十月に「俳句文化祭」を開催したとある。会場は東松山市の勤労会館。埼玉大学教授の野間郁史、和光大学教授の佐伯昭市(「檣頭」主宰)が講演し、句会が行われている。
蝉時雨海より碧い切手貼る 岡田水明〈もず〉
裂けそうな空あり日曜画家の秋 竹ノ谷ただし〈紫〉
「俳誌往来」に編集委員の堀井鶏が十二誌を紹介しているが、そのうち今に残るのは大阪の「ひこばえ」のみ、最後に紹介されている「雑草」は昨年十二月に終刊。
とある。また漆拾晶「『書評』前衛俳句再訪/河村悟『弥勒下生』(七月堂 二〇一七年)」には、
寺山修司が青春を過ごし、句作を始めた頃の戦後間もない青森県に生まれた詩人、河村悟は今から二年前の二月二日に亡くなった。一九八四年から詩集を主に著していたが、二〇一七年になって生涯一冊にみとなる句集を残す。その活動は詩作のみに留まらず、写真、ドローイング、書、朗読、舞踏の演出など多岐にわたる。詩歌集の他に土方巽を論じた著書もあり、前衛芸術に深く関わっていた。その前衛性は本句集『弥勒下生)でも顕著に見られる。
悪しき母 なにゆえに肉を産めり
とあり、興味深かったが、作者は二年前に亡くった、とあるが、享年もなく、基本的なプロフィールが記してなかったのは残念だった。愚生には、もう少し手がかりがほしいと思った。ともあれ、以下に本誌より、いくつかの句を挙げておきたい。
描かれし猫にナスカの天高し 小沢真弓
銀河から転がつてくる寒たまご 河村正浩
くすぐりて笑はぬ人や山笑ふ 佐藤文子
右岸から左岸から花吹雪かな 髙田正子
さびしさの蛇で編まれし筏がとほる 鳥居真里子
水仙の香の越前と思ひたし 波切虹洋
地のいろとなる冬耕の暮れ残る 野木桃花
生涯の下戸を通して去年今年 増成栗人
白鳥来なぜ不機嫌な新紙幣 松田ひろむ
秋風が過ぎる帰らぬ人のやうに 武藤紀子
ゆふかぜにたたまれてゐる白芙蓉 村上喜代子
ポインセチア深海となる窓辺かな 森須 蘭
人日や雀に分くる米の粒 山田佳乃
脱ぎかけの皮やたかんな天を指し 吉田千嘉子
★閑話休題・・河口聖展「Recollection」(於:ギャラリーK)・・
気がつけば、河口聖展「Recollection」(於:越谷 ギャラリーK)の最終日(4月26日・土)だったので、ともかく出掛けた。久しぶりに河口聖氏にもお会いできた。
撮影・芽夢野うのき「葉桜の明るし昏し定住す」↑
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