各務麗至「左思右想さくらふぶきとなりにけり」(「詭激時代つうしん」2)・・


 「詭激時代つうしん」(詭激時代社)、「あとがき」風の記述に、


 今回から、この栞を「詭激時代つうしん」とすることにした。

 個人誌「詭激時代」も「戞戞」も、それぞれ私にとっての一つ一つの時代であったように、この栞版「つうしん」も私の新しい時代になるだろうと思っている。

 見た目を考慮しての今号の設定形式で、連作先頭になる先の「私小説ならぬ俳句」を、当時の発行日付を調整変更して「詭激時代つうしん1」として再発行することにした。

 そして「戞戞」も終刊宣言するつもりはなく、総括的に折々に発行したいと思っている。


 とあり、1号、2号の発行日を見ると、それぞれ令和七年三月九日、四月九日とあるから、各務氏は、たぶん、毎月の細君(岡田佐代子・2025年1月9日没)の月命日を目途に「つうしん」を発行されるつもりなのかもしれない。


また、「その後……」には、


 永代供養納骨も四十九日も済んで、三回目の月命日が来てしまった。そして、佐代子の菩提寺になるだろう、徳賢寺での彼岸会の法要もけんがくさせていただき法話も聞かせていただくことになった。

 英龍老師に拝顔するそのたび涙ぐんでしまう。老師は、佐代子に御世話になって……、といつもお会いするたび仰っていただけで、こちらこそ救われて、……。(中略)

 こんな思いは、残された者が一生背負い続けることになる一つの煩悩ということなのだろうか。

 わからない……。


 とあった。句作品の中から、いくつかを挙げておきたい。


  春夙吾妻絶命慟哭来(はるまだきあづまぜつめいどうこくく)  麗至

  私小説ならぬ私俳句春まだき

  春の接吻うれし涙もさよならも

  春の空さよならはないまた会はう

  朧夜や生きてあることこの如く

  末黒野や渡る風ありなごみけり

  朧夜や生死てふは生きてこそ




★閑話休題・・露の紫&林家つる子「紫のつる~東へ飛ぶ~」(於:府中市バルトホール)・・



 一昨日、4月13日(日)は、地元・府中市バルトホール(ル・シーニュ5F)で、府中・落語長屋主催の上方落語・江戸落語二人会「紫のつる~東へ飛ぶ」をきすげ句会の仲間たちと楽しんだ。林家つる子は昨年の真打昇進!、露の紫も第19回繫昌亭大賞奨励賞受賞のお祝いとなった。来年も同場所で4月11日(土)に開催が決まっている。



       撮影・中西ひろ美「元気かと聞かれ惜春と答え」↑

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