安部いろん「洗はれぬ血の顕れてけうとききやうと」(古典の中の〈今は使われていない、意味が変わっている〉オノマトペ句会)・・


  3月30日(日)午前11時より、中西ひろ美主催幹事の「古典の中の(今は使われていいない、意味が変わっている)オノマトペ句会」(於:都立 殿ヶ谷庭園内「紅葉亭」)であった。

 案内状の「どんな句会か」には、

 

 古典の中には、現在は使われていない擬音語。擬態語(オノマトペ)があります。また、音は同じでも意味が変わっているオノマトぺもあります

 今の俳句、連句作者の皆さまだったら古典をどのように作品化俳諧化するでしょう (中略)

〇句会当日、選句の参考に上記オノマトペの使われている例句をお示しします。幹事出題以外のオノマトペを使って作句された場合は、選句の前に例句を教えてください。


 とあった。一人5句出し。一応7句選だが、好きなだけ選んでもいいし、合評最中、もしくは、後出しで選(点)を加えて入れてもいいという句会。

 ただし、今回は、選ばれ句の作者は、まず名乗って、その句の作句動機、意味を説明し、その後に、選んだ句についての感想を述べあうという趣向であった。ともあれ、以下に一人一句を挙げておきたい。

 なお、阿部いろんの楕円形に表記された句は、どこから読み始めてもよいという句で、高点を獲得したが、楕円形表記は、愚生のブログの技術では無理なので、自由に、切り込んで戻り円環して読んでください。次の句です、「かはらはらはらうららかみんな済んだ」。




  花ぽつちり命の形欲しがりぬ            小池 舞
  ほちほちと寝ねられぬ夜の花の燠          佛渕雀羅
  入社式シュレッダーで段段にする          中内火星
  春泥にはらはら下す左足             ますだかも
  山は二分街は八分の芽むつむつ          中西ひろ美
 「死亡事故発生現場」しどろ春            瀬間文乃               
  空蝉はこをろこをろと風に鳴る           松本光雄
  天井もなくてすぶすぶ壁ばかり           鈴木純一
  しどろに眠りつく放棄田のかかし         安部いろん
  桃尻のぼくぼくわが身桜東風            大井恒行



          撮影・鈴木純一「一本の猫のヒゲからもう一匹」↑

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