中尾壽美子「十分に老いて蓬に変身す」(「風琴」第3号より)・・
「風琴」第3号(風琴の会)、ブログタイトルにした中尾壽美子「十分に老いて蓬に変身す」の句は、本誌の皆川燈「第三句集『草の花』の命名―—中尾壽美子ノート その3」の文中に出て来る。句集『老虎灘』の句である。 他にも「耕衣から径子へのハガキ②」、五十嵐進「フクシマから見えるもの③沈静化のヒサク」、月犬「磚と略奪された文化財」、関根順子「賢治の妹トシを巡る心象スケッチ」、矢田鏃「カフカの俳句」など、特集は「嵯峨野鈴子第4句集『ちはやぶるう』を読む」など読みどころ満載。ともあれ、以下に一人一句を挙げておこう。
鉄棒や高き風籟冷たかり 佐藤すずこ
にんげんのままで迎へる初日かな 柴田獨鬼
手のひらで瀕死の蛍がつと動く 関根順子
耳遠き男に冬の雨やさし
ときには父の聲も聞こえて 月 犬
言い訳はいらない箒草のまっ赤か 西谷裕子
スマホのない春を楽しんでいよう 三池 泉
陽水のリバーサイドはジャズ喫茶ロンドのマスターの十八番(おはこ)だつたな
風ひかる男はみんな行方不明 皆川 燈
冬日向ありしところが曇りける 矢田 鏃
ことわれば義母の眼さみし冬景色 結城 万
雪を割る青空のかけらだ 五十嵐進
イニシエとは鯨に足があった頃 M・M
撮影・芽夢野うのき「父逝きし日と同じ牡丹雪ふり掌」↑
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