大井恒行「さぁ、類の、生まれてすぐの二度嚏」(「鷗座」2月号より)・・



 

 「鷗座」2025年2月号(鷗座俳句会)の招待席に10句、寄稿させていただいた。タイトルは「頭付・かもめざのみなさまに」で、頭文字をつらねとタイトルになる。いわば、鷗座の皆さんへの挨拶句となっている。ブログタイトルにした句「さぁ、類の、生まれてすぐの二度嚏」は、鷗座同人で先般、亡くなられた、荒井類氏の「わたくしは生まれてすぐに二度嚏」の句を本歌にしている。ちなみに、最初の「」から続く、頭(かしら)付の句は、


  (か)鷗座のダンサー二月きらめける

  (も)喪に服す招待席のツネユキ・オオイ  

  (め)目醒めつつ翔ける銀河のカモメこそ 

  (ざ)坐すことはみみずくの夢ひろむ氏は   (以下略)


  他の論考には、松田ひろむ「新名句入門/名句のための俳辞苑33 助数詞」、川崎果連「日野百草著『評伝 赤城さかえー楸邨・波郷・兜太に愛された魂の俳人』評」などがある。ともあれ、以下に、本誌本号よりいくつの句を挙げておこう。


  寒いねとときどきすねて雪女       松田ひろむ

  ひょっとこの形見の根付二月来る      田辺波菜

  腹ペコのポストの音や初御空        宮 沢子

  そこを押してはならぬ浮寝鳥        古川塔子

  褐色(かちいろ)の帽子は中也落葉踏む  白石みずき

  ガザの子の頬に血痕米こぼす        石口 榮

  毎日を笑っていよう冬鷗          小髙沙羅

  ぴょんと八十上手に割って寒卵       小平 湖

  新しい軍服でくる冬将軍          川崎果連

  カピバラの柚子のたっぷりいい湯だね   安原南海子

  初鴉山へ真向かう始発駅         渡邊すみれ

  焼き鳥の串ばかり増えクリスマス      安藤草太 

  あら涙目に蠟梅を見すぎたせい      石口りんご

  冬紅葉久女の狂気棲みついて        磯部薫子

  一人ずつ欠けてゆきたり宝船       後藤よしみ

  風花やあの娘あれから沖縄へ        椎谷もも



★閑話休題・・来る4月27日(土)午後1時~俳人「九条の会」新緑のつどい(於:北とぴあ ペガサスホール)・・


 ☆記念講演  ・弁護士 白神優理子「軍事力の強化で平和はつくれないー日本国憲法は      

                   希望」

        ・俳人 仲寒蟬「戦争俳句と大牧広」

 ☆会場 北とぴあ 15階ペガサスホール JR王子駅北口徒歩3分

                    地下鉄南北線・王子駅5番出口会場直結   

 ☆参加費 1000円

 ☆主催  俳人「九条の会」



      撮影・中西ひろ美「藪椿渦まくように家族かな」↑

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