岩井かりん「言の葉の羽化のはじまる星月夜」(「甲信地区現代俳句協会会報第104号・第37回紙上句会」より)・・


  甲信地区現代俳句協会会報第104号(甲信地区現代俳句協会)、第39回定時総会が来る3月9日(日)正午より、松本市大手公民館が開催される。先だって、会報に、第37回紙上句会の結果が発表された。愚生も選者のい一人だった。ブログタイトルにした岩井かりん「言の葉の羽化のはじまる望月夜」の句を特選に選んだ。講演は仲寒蟬で演題は「戦争と俳句」。

 ともあれ、以下に、各選者による特選句を挙げておこう。


  秋高くありダリの脚長き象     原田宏子(秋尾敏選)

  逝く時は夜の木の実の降るやうに  松下勝昭(神野紗希選)

  銃持たぬ七十九年鰯雲      久根美和子(宮坂静生選) 

  廃校の窓を染めゆく秋夕焼     古畑 和(佐藤文子選)

  竜渕に潜みて家に帰られず     佐藤文子(小林貴子選)

  湿原は丈を競はず吾亦紅     久根美和子(堤 保徳選)

  風死して崩落のビル睨む少年    奈都薫子(中村和代・久根美和子選)

  秋の浜赤児のやうな不発弾    大野今朝子(仲 寒蟬選)

  鰯雲空一面が動き出す      三石なるみ(島田洋子選)

  青蜜柑畳の部屋の英語塾     斉藤文十郎(青木澄江選)  




★閑話休題・・大井恒行『水月伝』ー第23回鬣(TATEGAMI)賞受賞(「鬣」第94号より)・・


 第23回「鬣」賞が発表になった。今回は、伊藤政美『天王森集』(菜の花会)、土見敬志郎『岬の木』(朔出版)、松本勇二『風の民』(文學の森)、大井恒行『水月伝』(ふらんす堂)の四句集に授賞されている。
 愚生は、昨夜は帰宅が遅く、郵便物をそのままにしておいて、まったく気づかず。朝イチのメールで、高山れおなが知らせてくれて、初めて知った。ありがとう!!
そして、愚生の『水月伝』も、その一冊に選んでくれた「鬣の会」の皆さまに感謝したい。外山一機が、最後に書いてくれていることは嬉しい。

 (前略)ともすれば過去の俳句史の遺産にただ乗りするかのような昨今の書き手を思うとき、自らの方法に自覚的であろうとする大井の句は重厚そのものだが、同時に、いわばたったひとりで俳句史に決着をつけようtぽしているかのようなその姿は孤独だ。俳句史にとって本当の絶望とは、このような書き手がなかったことにされることだろう。


       撮影・鈴木純一「麺麭のなる地を略取して報いなし」↑

 本日の、ふらんす堂編集日記に、『水月伝」鬣賞受賞のお祝い記事を、山岡喜美子が書いてくれている。深謝!!   https://fragie.exblog.jp/ 

コメント

このブログの人気の投稿

田中裕明「雪舟は多く残らず秋蛍」(『田中裕明の百句』より)・・

秦夕美「また雪の闇へくり出す言葉かな」(第4次「豈」通巻67号より)・・

能村登四郎「白椿落ち際の錆まとひそめ」(『俳句のマナー、俳句のスタイル』より)・・