濱筆治「オキザリス震へ心臓手術室にきみ」(第39回「きすげ句会」)・・
本日、2月20日(木)は、第39回「きすげ句会」(於:府中市生涯学習センター)だった。兼題は「木」、以下に一人一句を挙げておこう。
木の芽風新たな鍵の重さかな 高野芳一
日めくりの音湿りきて春きざす 寺地千穂
黒雲を仰ぐ黒富士寒落暉 山川桂子
風光る旅の鞄にカバン入れ 井上芳子
立ち席の子ども食堂能登の春 杦森松一
隠れん坊息を殺して春の闇 濱 筆治
立春やよちよち歩くティラノサウルス 久保田和代
青天に同じ国かと積もる雪 大庭久美子
残照や魁夷もかくや冬木立 清水正之
木の根明く夜には星の匂いせる 大井恒行
次回は3月20日(木)、兼題は「石」。
★閑話休題・・細見綾子「春立つや能登の岩海苔焼き焦がし」(『武蔵野歳時記』より)・・
細見綾子著『武蔵野歳時記』(東京新聞出版局)、その「あとがき」に、
十数年にわたって書いた文章のなかから身近な一木一草に寄せる情、各地の旅の思い出、古里丹波の回想、日常茶飯の身辺雑録なそを選んで一冊にまとめました。(中略)
私は今年数え九十となりました。多くの方から賜りましたご恩を身に沁みてかんじおります。長く生きて来て良かったという一言を記して感謝申し上げます。
とあった。本書は正月・春・夏・秋・冬と分類されているが、ここでは当季の春の章からいくつか、句を拾っておこう。
春立つや月眉形と見たるより 綾子
女神仏に春剥落のうづきをり
海鳴りの音珠洲焼に牡丹挿す
細見綾子(ほそみ・あやこ) 1907年3月31日~1997年9月6日。兵庫県氷上郡生まれ。
撮影・鈴木純一「遠ざかる冬は時おり振りかえり」↑
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