佐佐木幸綱「はるばるとそらわたりきてにっぽんの白鳥となるしもつきのあさ」(「六花」VOL.9より)・・
「六花」VOL.9(六花書林)、「かなり長めの編集後記」に、
『六花』vol.8から一年を経てのyol.9の刊行である。(中略)
感慨にひたるわけではないが、編集に入る前にこれまでの八冊を積み上げてみた。創業十一年目に急に思い立って始めた『六花』である。六十四頁での出発だった。そしていつのまにか創業二十周年が視野に入ってきた。
とあった。愚生の知り合いの俳人の執筆は、五島高資「言葉で言葉を超える」、田中亜美「混沌の中からー金子兜太展に寄せて」、宮崎斗士「令和の金子兜太・その後[俳が流れる7]」。ブログタイトルにした佐佐木幸綱の歌は、田中亜美のエッセイの末尾の「会の最後に兜太の句への佐佐木の〈返歌〉が紹介された」からのもの。以下でである。
霧に白鳥白鳥に霧というべきか 『旅次抄録』
はるばるとそらわたりきてにっぽんの白鳥となるしもつきのあさ
梅咲いて庭中に青鮫が来ている
きさらぎのしののめさむくうめさいてうめちってしろい男くるなり
ともぱれ、本誌本号の中の歌句をいくつか挙げておこう。
ごらん 雲のむかうで秋の青年の裸体を恥ぢるやうな 山木礼子
あまつぶのどれかにひそむ詩をさがしつづけるごとき雨後のゆふばえ 小田桐夕
満月や大人になってもついてくる 辻 征夫
二十年前の約束果たさんとフランクフルトの空港に立つ 田中徹尾
いつまでもあたしのものにならん声をそれでも30年を暮らした 山中千瀬
ウォーターリリーここに生まれてウォーターリリーここがどこだかまだわからない
川野里子
もうこれを戦争以外の何と呼ぶゲートの前の押し合う人々 波照間千夏
反戦ははるかなる虹見えながら指さしながらだれも触れず 小島ゆかり
デッサンのモデルとなりて画用紙に十字よりわれの顔は始まる 花山周子
いき違う話の途中なめらかなカーテンレールに見ているひかり 堀 静香
撮影・中西ひろ美「天高くしてどんぐりを踏んだ音」↑
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