谷口慎也「枯山の智恵くらべなり日が当たる」(「連衆」101号・休刊号?)・・
現在只今の私(谷口)の体調が思わしくなく、引き続き連衆102号の発行に自信が持てませんので、ここで本誌はいったん休止と致します。なお、「連衆」同人(常時参加者)の皆様には、再開のめどがが立った時点でご報告申し上げます。
突然で申しわけありませんが、ご理解下さい。
とあった。ひたすら、ご自愛の上、体調が復されるのを祈るばかりである(氏とお会いしてから35年ほどになる)。先日、愚生の句集『水月伝』について、「夏木久が書くと言っています」と便りをされていた。よって本号に、その通りに、夏木久「『水月伝』考①―—現代人のための風化させない交響詩入門」(次回に続く)があるので、少し紹介したい。
(前略)更にもう一つ、目次からの4章の構成を見て、音楽好きの私はすぐに交響曲を想像してしまって、(Ⅰ章のソナタ形式、Ⅱ章の緩徐楽章、Ⅲ章の舞踏(変形)的楽章、Ⅳ章のⅠ章イメージの再現的ソナタ形式…)いた…。まあそんなBGMを脳裏に浮かべながら、句的世界へ乗り込もう。本当に前置きが長くなってしまった…。
東京空襲アフガン廃墟ニューヨーク
いきなり掲句が冒頭に。三つの地域固有名詞と二つの名詞のみで構成、その二つの名詞「空襲」「廃墟」がどのエリア名詞にもかかり、同時代としての七〇年代を一つの水面に、両世紀の悲惨な映像を、自らの現代の時代状況と同時代ではないが記録記憶にある戦争動乱の過去とを、幻ではない!と映し出すことを試みているようだ。
Ⅰ章主題Ⅰは…戦争?幻でないこの一世紀にも及ばない世界社会の現実実相を確と示す。では第2主題?は…
なぐりなぐる自爆者イエス眠れる大地
イエスの眠る地…、イスラエルパレスチナ周辺の今、現在を想起させ、風化していない現実と、決して風化させてはならない想いが過去の実像、実相を絡め展開するのか。(中略)
駅から駅へていねいに森を育てる
幾つかの句を掲げたところで、紙幅が尽きた。続きは次号「Q俳句の迷走⑫」にて展開する。Ⅰ章は言葉の表が凄まじく、Ⅱ章は言葉の裏が悩ましい。時間をかけて言葉のイメージが身に沁み込む、緩徐楽章的に。(続く)
とあった。ともあれ、本誌本号より、いくつかの句を挙げておきたい。
狂ひなき叔母の逆立ち鳥羽の秋 中烏健二
空瓶にビー玉の鳴る放哉忌 増田まさみ
誰何され我を越さるる蛇の衣 渤海 游
あめつちのどのみち水は入れ替わる 松井康子
心太ところであの人あの人よね 鍬塚聡子
指先に月光集め半跏思惟 羽村美和子
二百十日そこらかしこから上昇気流 瀬戸正洋
あめんぼは詠み人知らずのままである 森さかえ
地球儀の日本は無疵晩夏光 小倉班女
8月の窓を開けて「見るのか見ないのか」 夏木 久
百日紅不覚発覚死角から 加藤知子
げんこつを聞かせ拳を聞かせている 普川 洋
声が出なくなった君へ大花火 川村蘭太
ピーマンの中の平和が日本です 飯島章友
本番前の足袋の白黒どっちでも良い 情野千里
蝶々は闘っているてふてふと 谷口愼也
★閑話休題・・YO-NE唄会「黄昏に恋して㉑/2DAYS」(於:国立・ギャラリービブリオ)・・
YO-EN東京ライブ・11月2日(土)17時開演~、3日(日)16時開演・ヨーエン唄会「黄昏の恋して㉑」(国立・ギャラリービブリオ)である。今宵はけっこうな降りだったが、それはそれで、雨音の聞こえる良い趣であった。
鈴木純一「うそ寒やねむりぐすりをあと少し」↑
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