澤正宏「夏の間は子どもらのため『処理水』を流さないでと訴う保護者」(「長周新聞」2024年10月24日・第9178号より)・・


 「長周新聞」2024年10月24日・第9178号(長周新聞社)、第4面文芸欄に、同人誌「駱駝の瘤 通信」28号(2024年秋)が紹介されている。その記事中、俳人でもある五十嵐進の評論を紹介しているのだ。それには、


 東日本大震災を機に創刊し、被災地福島県を拠点に真実を記録し発信する同人誌『駱駝の瘤 通信)の二八(二〇二四年秋)号が発刊された。(中略)

 五十嵐進の評論「農をつづけながら…フクシマにて」は、東京電力福島第一原発の核汚染水の海洋放出をめぐって、福島県議会が決議した教育現場での「処理水理解醸成」を求める意見書に至る経過と、その軽な内容を批判する専門家の発言を紹介しつつ、正論を突きつけている。

「教育現場におけるALPS処理水の理解醸成に向けた取組の更なる強化を求める意見書」は自民党が提出したものだが、議会内外の批判と反対の声を押し切って「福島県議会意見書」として国関係諸機関の長宛てに提出された。五十嵐は「核発電“事故“被災当事者である福島県の県会議員が、揃いも揃って、こういう“意見書“を考案し、決議し、“国“に対処を求めるという姿勢に、情けないと思わざるを得ない」と吐露している。

 意見書は、今年の一月に開催された日教祖の教育研究会で神奈川の教師授業実践のレポートに「汚染水」と書いていたことを問題視したものだ。国際原子力機関(IAEA)などが理解を示しているのに、「科学的根拠もないまま、処理水を『核汚染水』と称して虚偽の情報を世界中に発している中国」と同じ考えを子どもたちに教えるのは問題だとのべている。(中略)五十嵐は、これに対して「教育への政治介入」「表現の自由」「教員の専門職としての学問の自由」を掲げた批判や識者の発言をもとに問題を整理している。(中略)

 また、汚染水の海洋放出に反対する中国を「愚鈍国扱い」して教員や創造的な教育への攻撃とつなげる悪質さを指摘。「国民を絶対に被ばくから守る」「国民の放射線被ばくは絶対に避ける」(原子力基本法)という国是を守ることこそが求められているのであり、こんな意見書に労力・知力を費やすのなら、一四年前に発令した「原子力緊急事態宣言」下で変えたもろもろの基準値をもとに戻すことに専念すべきだと訴えている。(中略)

 浪江へと除染土運ぶトラックに挟まれて通う十四回目の春    澤 正宏



★閑話休題・・「『100分de名著』響き合う『源氏物語』とJAZZ~トーク&ライブ~」(於I’MASHOW・有楽町マリオン別館)・・



 ライブの主人公は「ジャズシンガー綾戸智恵×能楽師 安田登」に出掛け、有意義かつ楽しい時間を過ごした。池田澄子さんと同伴。村井康司氏にもお会いした。帰り際に、森賀まりさん、またエレベータの中で、このたび「豈」同人になった中村憲武氏にも初めてお会いした。



    撮影・中西ひろ美「メモリーに秋を溜めおく草木かな」↑

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