好井由江「吾亦紅つんつん夕日離さずに」(『今日の日』)・・
好井由江第5句集『今日の日』(ウエップ)、著者「あとがき」に、
本集は『風見鶏』につづく第五句集です。二〇一九年十一月から二〇二四年六月迄の中から三五六句を収めました。
句集名「今日の日」は、これから先も一日一日を無事に明るく過ごすことが出来ますように、との願いでもあります。
五十六歳から始めた俳句も三十二年。八十八歳の今にして見えるもの、聞こえるもの、なかなかに面白く、ある時は哀しいこともありますが、老いもまんざらでもないと思っております。
とあった。ともあれ、本集より、愚生好みに偏するが、いくつかの句を挙げておこう。
神よりも遠出しており神の留守 由江
冬蝶が橋ながながと渡りけり
山手線二周の家出春の月
マッチなき暮しくちなし夜も匂う
ボサノバを鉢の金魚に聞かそうか
けん玉がかつんかつんと今日の秋
種茄子のまだ太る気よ天気雨
冬野来る吹かれ細りの人と犬
ぶらんこの影ぶらんこの寒い午後
四月馬鹿胸押しつけてレントゲン
夏帽子橋の途中で飛びたがる
母でもない色にマニキュア小鳥来る
どんぐりを持ちかえてから手をつなぐ
白粉咲くとなりでもなくうちでもなく
ふりむけば風ばかりなり笹子鳴く
桃咲いて遠く鴉が鳴いて昼
好井由江(よしい・よしえ)1936(昭和11)年、栃木県生まれ。
★閑話休題・・駄作絵師・サラスワティ・トラ(末森敬子)初展覧会「ありそうでなかった/祈りの駄作絵/うつくしきとうとい」(於:あるがまま舎)9月14日~10月末予定・・
サラスティ・トラのプロフィールには、
あるときはヒマラヤの娘、パールヴァティ・トラ。世界を旅しこと特別な想いを注ぐインドに幸福をなしとげる、オマージュを落描きのよせあつめかきあつめに戯れつつ、自由を舫い、自由、木洩れ日姫。むべなき駄作絵師。旅の音楽一座。ナマステ楽団、狂犬バクシーンの最愛のパートナー。
とある。その最愛のパートナー・末森英機の 「さぷらいずらいぶ『狂犬バクシーン 語り唄の小さな会』が10月6日(日)お昼過ぎから 投げ銭+オーダー」で開催される。問い合わせは:080-5431-5393(スエモリ)。
また、案内チラシのメッセージには、南椌椌(遠国の桃取り)、山福朱美(樹の実工房主宰・版画家)、川辺ゆか(ダムニョンと旅する歌手)、くまあやこ(画犬)、塚本毅(平成造園・さすらいの庭師)、テンジン・クンサン(チベット仏教音楽家)の暖かいことばが並ぶ。
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