東直子「火を消しておしまいにする夜祭の闇に立ち続けている姉さん」(『短歌の詰め合わせ』より)・・
(文)東直子・(絵)若井麻奈美著『短歌の詰め合わせ』(アリス館)、「はじめに」には、
(前略)短歌には、作者のその時にしか書きとめることのできなかった喜怒哀楽(きどあいらく)や発見、アイデア、いたずらごころなどが、一首一首に込(こ)められています。誰かの心が詰まった一首は、誰かの心に響(ひびき)きます。(中略)
この本の中には、、身近かな八つのテーマに沿って、楽しさや切なさ、おもしろさなど、誰かの心が詰まったたくさんの短歌を集めました。(中略)ぜひ、お気に入りの短歌を見つけて下さいね。短歌を通して世界が少し違(ちが)って見えてくるかも知れません。あなたの心もお守りになる一首を見つけてもらえたら、ほうとうにうれしいです。そして、自分でもぜひ、五七五七七に言葉をあてはめる楽しさを、味わってみてくださいね。
とあった。その八つのテーマとは、「食べ物」「動物」「家族」「自然」「喜怒哀楽」「恋」「不思議」「乗り物」である。ともあれ、本書中より、いくつかの短歌を紹介しうておこう。
こころよりうどんを食へばあぶらげの甘く煮たるは慈悲のごとしも 小池 光
おおいなる梅干し知り合いがみんな入っているとおもって舐める 雪舟えま
「やさしい鮫」と「こわい鮫」とに区別して子の言うやさしい鮫とはイルカ
松村正直
兄ちゃんが隣に座りすきやきを私の小さな茶わんに入れる 池田はるみ
ゆたかなる弾力もちて一塊の言葉は風を圧しかへしたり 横山未来子
いとしさもざんぶと捨てる冬の川数珠つながりの怒りも捨てる 辰巳泰子
対岸をつまずきながらゆく君の遠い片手に触りたかった 永田 紅
夢に棲む女が夢で生みし子を見せに来たりぬ歯がはえたと言ひて 吉川宏志
雨の日のひとのにおいに満ちたバスみんながもろい両膝をもつ 山崎聡子
中心に死者立つごとく人らみなエレベーターの隅に寄りたり 黒瀬珂瀾
東直子(ひがし・なおこ) 1963年、広島県生まれ。
若井麻奈美(わかい・まなみ) 1989年、神奈川県生まれ。
★閑話休題・・永瀬ゆらとスエモリヒデキ(於:下北沢 lete)・・
去る8日(日)には、「狂犬バクシーン(末森英機)」+「ストリッパー永瀬ゆら」のライブに出かけた。帰路には折からの北沢八幡の秋祭り神輿に偶然出会った。
撮影・中西ひろ美「袖頭巾かむりて菊の身体かな」↑
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