永井陽子「少女期の白い夏野を裸馬よぎる」(「トイ」Vol.13より)・・
「トイ」Vol,13(トイ編集室)、同人は青木空知・池田澄子・仁平勝・樋口由紀子・干場達矢。句と1ページのエッセイをそれぞれ収める。干場達矢「青春」には、
人に『永井陽子全歌集』(青幻舎)をもらった。永井陽子といえば〈ひまはりのアンダルシアはとほけれどとほけれどアンダルシアのひまはり〉がまず思い浮かぶ。(中略)
『全歌集』を開いて知ったのだが、永井は俳句も書いていた。
〈少女期の白い夏野を裸馬よぎる〉
歌人が書いた俳句は気になる。面白い句を書く人もいる。だが、永井の句はムード先行だ。おもに十代のころの作のようである。
句歌集『葦牙』のあとがきにこうある。
「私と俳句の間には、明らかな距離があった。(略)俳句は現代詩である。伝統とはかかわりのない、現代に息づく詩(うた)である」
短歌には千年にわたって連続する生命があり、それが青春の入口に立つ自分を魅了したといい、これに対して俳句は、という。そして「俳句は一生続けられる」が、短歌には青春以外のものをたくせないというのである。
と記されていた。ともあれ、以下に一人一句を挙げておきたい。
堪忍袋の口をしばるに力草 池田澄子
だんだんと正方形の顔になる 樋口由紀子
髪はまだ濡れてをらざり水遊び 青木空知
日の丸のしろいところが涼しさう 仁平 勝
今朝の秋ものみないつか人を去り 干場達矢
★閑話休題・・津髙里永子「動物園暑しペンギン爪黒し」(「~ちょっと立ちどまって~2024・7~」)・・
「ちょっと立ちどまって」は津髙里永子と森澤程の二人の葉書通信。もう一人の句を以下に挙げておこう。
空蟬の一心不乱風吹く日 森澤 程
撮影・鈴木純一「権力はテッポウユリのめしべから」↑
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