齋木和俊「読み返す『広島ノート』夏の果」(第176回「吾亦紅句会」)・・
昨日、8月23日(金)午後1時~は、第176回「吾亦紅句会」(立川市高松学習館)だった。兼題は「踊」。以下に一人一句を挙げておこう。
海女小屋に手鏡ひとつ今朝の秋 佐藤幸子
小夜更けて地下衆で踊る風の盆 齋木和俊
踊り手の皆帰省子か過疎の村 吉村自然坊
敗戦忌三歳の吾引揚者 渡邉弘子
原爆忌地球のあちこち戦火の子 牟田英子
七夕や母の形見の千字文(せんじもん) 松谷栄喜
風鈴や住む人のなく鳴りやまず 西村文子
あらここに黒い服着て元気蟻 三枝美枝子
盆踊同じ輪の中異国の子 関根幸子
お囃子の少し遠慮の盆踊り 笠井節子
爽涼や飛行機雲の線続き 奥村和子
喫煙の螺旋階段星涼し 折原ミチ子
仏桑華平和を祈念次世代に 井上千鶴子
球児らの願いかなわず雲の峰 高橋 昭
振袖の乱れず踊る舞妓はん 佐々木賢二
蝶となり蜻蛉となりて花野行く 田村明通
黙祷の壁に空蝉取り残す 村上さら
踊りの輪もじもじとしては入れぬ子 武田道代
巴里五輪ひばりの「柔」しみじみと 須﨑武尚
まねく灯踊りの男女みな頭巾 大井恒行
★閑話休題・・皆川燈「著者は現在の俳句界にあって、深々と屹立する存在である」(「図書新聞」3653号・2024年8月31日・『水月伝』書評)・・
「図書新聞」第3653号・2024年8月31日(武久出版)に、皆川燈が「二十三年ぶりに刊行した第三句集/著者は現在の俳句界にあって、深々と屹立する存在」とのタイトルで、愚生の『水月伝』(ふらんす堂)を評してくれている。拙著の刊行後、俳句総合誌、新聞などでの書評ではもっとも質量ともに有難く評していただいた。
皆川燈は、永田耕衣亡き後、清水径子・鳴戸奈菜を擁して俳誌「らん」を創刊し、編集人を務めた。それも先般、終刊した。現在は、新たに創刊した同人誌「風琴」の発行人であり、実力派の俳人である。この評のなかに、
(前略)父の世代の戦争はまぎれもない現在として呼び出される。
凍てぬため足ふみ足ふむ朕の軍隊
召されしに白木の箱の紙切れひとつ
いま作者があえてこうした俳句を書くのは、それが過ぎ去った遠い記憶ではなく、現在進行形であることを明確に刻んでおきたいからにほかならない。
原子力発電所すめろぎも穀雨なか
幾年も降るセシウムや大花野
雅やかな季語は死者を弔って啼いているようだ。
とあった。深謝!!
撮影・中西ひろ美「雨上がるきすげゆうすげ次の旅」↑
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