原雅子「水澄むや原発洩るる水いづこ」(『明日の船』)・・
原雅子第3句集『明日の船』(紅書房)、その「あとがき」に、
『明日の船』は『日夜』『束の間』に次ぐ第三句集です。二〇一一年の前句集『束の間』から十数年経ちました。その間、思いがけず俳句鑑賞に関する文章を二冊出版していただいたりしたのは望外のことでしたが、自分の句をまとめることからは遠ざかっておりました。(中略)
指摘されて気がついたくらいで意識していた訳ではありませんが、このたびの『明日の船』もたまたま未来を指す言葉が入っています。私自身の未来の時間はさしてたっぷりある訳ではありませんが、未知なる時間であるのが気に入って句集名といたしました。
とあった。ともあれ、愚生好みに偏すると思うが、いくつかの句を挙げておきたい。
一日を使ひ減らしぬ鳥雲に 雅子
雪月花じわじわ被曝してゐたる
晩凉のゐもりながむしひきも来よ
民族にかぶさる国家冬深む
老人や蚊柱に杖差し込んで
戦はぬ国是いつまで唐辛子
ステンドグラスに聖者は痩せてクリスマス
忘れ易く諦め易き国家凍つ
菰を巻くいづれ伐らねばならぬ木に
里神楽山影山を移りけり
絶滅危惧種ヒトにあらずや蚊など打つ
夢にだに立たぬ亡き人盆が来る
墓洗ふ童子童女の名を濡らし
水澄んでもう出てゆかぬ氷川丸
来るな来るなと啄木鳥の急調子
綿埃からつまみ上ぐ木の葉髪
原雅子(はら・まさこ) 1947年、東京生まれ。
★閑話休題・・ナマステ楽団10周年生誕祭ライブ(於:下北沢lete)・・
午後から早めに、末森英機のナマステ楽団10周年生誕祭ライブ14時半~(於:下北沢lete)に出かけたが、京王線の人身事故のための遅れで、一時間半以上かかってしまい、少し遅刻、満席で演奏者をかいま見ることもなく、演奏だけを聞いて終演になった。とはいえ、隅っこの丸椅子に腰かけ瞑想にふけりつつ、曲のみを聞くのも悪くはない。
鈴木純一「気の抜けたコーラに2本麦の稈」↑
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