羽村美和子「月見草きのうの錆びた昼がある」(「俳句界」9月号より)・・
「俳句界」9月号(文學の森)、特集は「世界の『芭蕉』を追う」。論考は、堀田季何「芭蕉はどれだけ、世界で有名なのか」、マブソン青眼「芭蕉の取り合わせと“二重写し“のアニミズム」、奥坂まや「世界に一つだけの詩」、ラーシュ・ヴァリエ「芭蕉の魅力/芭蕉30句選」。もう一つの特集は「私が愛する『一品』」で、執筆陣は小島健・細谷喨々・中原道夫・福神規子・福永法弘・稲畑廣太郎・遠藤由樹子・碓井真希女・辻村麻乃・藤原暢子。中では、中原道夫「CPAP」が変わっていて面白い。句もその計測機械に関するもの、
無呼吸の谷間に覚めて明易し 道夫
ここでは、「豈」同人でもある羽村美和子の「私の一冊・『萩原朔太郎 名著初版本復刻珠玉選』(1985年・日本近代文学館)」を紹介しておきたい。その中に、
(前略)私は口語で俳句を書く。文語は五七五のリズムに乗りやすいが、口語は一筋縄ではいかない。大袈裟だが、近代詩の苦悩と似ているかも知れない。口語俳句と格闘する私を「WA」の岸本マチ子、「橋」編集長の加藤佳彦が、受け止めてくれた。また今も所属する「豈」や「連衆」は多様性の集団。皆自分のめざす俳句を掲げ、新しい俳句を目指している。
とあった。ともあれ、本誌本号より、いくつかの句を挙げておこう。
奥右筆の裔の家とや白芙蓉 山本鬼之介
ががんぼの足が押さえて世界地図 羽村美和子
腰紐を緩めたる手や夜の秋 辻村麻乃
半生の悔いありありと水澄めり 森岡正作
頬杖に唇まで隠れ金魚玉 東野礼豊
方針はないけど石鹸玉である 中内火星
★閑話休題・・星野愛「イヤホンの中に街騒夏夕(まちざいなつゆうべ)」(「朝日新聞夕刊」7月31日付け)・・
「朝日新聞・7月31日夕刊」の「あるきだす言葉たち」に、星野愛「銀翼」12句が発表されていた。略歴に、1980年生まれ。「玉藻」同人、日本伝統俳句協会・現代俳句協会共に評議委員、とあった。星野高士の息女である。
並び飛ぶみんみんも市街地生まれ 愛
銀翼や喜雨(きう)の虹へと天翔(あまかけ)る
不夜城にブーゲンビリア絡まれり
撮影・芽夢野うのき「うつ伏せは告白の予感蝶よ秋」↑
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