築網臥年「月に眠る身はうつくしき廃墟なす」(「Picnic」No.12より)・・
「Picnic 」No. 12(TARO冠者)、その巻頭エッセイ、鈴木茂雄「5・7・5を企む『Picnic』」に、
俳句を読むとき、そこになにが書いてあるかということより、いかに書いてあるかということに、わたしは注視する。俳句にかぎっていうと、そこに書かれたものが意味することより、書かれた俳句のしくみの方を重視する。十七文字の一語一語に創作のヒント、読解の手がかりがあると思うからである。
とあった。ともあれ、以下に一人一句を挙げておこう。
ほな、羽を叩きつけたらええんやね 榊 陽子
はにかんだ浦島太郎に花吹雪 妹尾 凛
推定無題村人はみな同じ顔 月波与生
樹の下にあしたを置いてくるママン 松井康子
ひぐれからふりおとされるひえらるひ あみこうへい
ちりぬると水の括りのひとしずく 木下真理子
表札屋横入ル和泉式部の忌 波田野令
万緑や笑い過ぎでは痩せなくて 岡村知昭
鶏が汚れてすまう春の暮 梶 真久
良心の呵責に焦げてゆくスルメ 叶 裕
妻からは和尚と呼ばれ新茶汲む 木村オサム
あやふやなボタンを押すと芽吹きけり 鈴木茂雄
大胆な腰のリズムに桜散る 野間幸恵
乾佐伎の父・夏石番矢矢↑
大塚 凱↑
中村和弘↑
片山由美子↑
本日、6月22日(土)午後2時から、乾佐伎第二句集『シーラカンスの砂時計』(砂子屋書房)の出版を祝い、語り合う会(於:アルカディア市ヶ谷)に出かけた。実に久しぶりに多く既知の方々にお会いできた。
乾佐伎は、夏石番矢と鎌倉佐弓の娘だから、生まれたときから知っている。愚生の寄る年波を自覚されるのである。そして、本句集の出版の版元が、田村雅之の砂子屋書房から上梓されたのも、嬉しいことのひとつだ。若い俳人の前途を祝したい。
帰路、池田澄子のお誘いで津髙里永子と一緒に、野村佐紀子写真展「トロイメライ」(於:SAKIKO NAKAGAWA GALLERY・表参道駅)に行き、その近くでお茶を飲んだ。
乾佐伎(いぬい・さき) 1990年、東京都板橋区生まれ。
撮影・中西ひろ美「性善説だ咲く前の百合苑は」↑
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