三宅深夜子「ひらかなのおてがみさくらさくらかな」(「天晴」14号・夏号)・・


 「天晴」14号・夏号(発行人 津久井紀代)、「第一回天晴賞発表」である。選考委員は津久井紀代・筑紫磐井・仙田洋子。「豈」同人もみえたので、以下に、正賞、準賞、佳作の方々の句を紹介しておこう。


  巻貝の奥の紫立子の忌        三宅深夜子(正賞)

  室咲の小さき花に小さき疲れ      森 巴天(準賞)

  陽炎や舌にとけゆく和三盆       松浦泰子( 〃)

  寒晴やピノキオは木に戻りたい    なつはづき(佳作)

  エッシャーの螺旋階段鳥雲に      杉 美春( 〃)

  海に向く棚田千枚燕来る       堀場美知子( 〃)

  薔薇の芽の末はマリアかまくれなゐ  高橋多見歩( 〃)

  どんぐりは立ち上がらない鍋の底    川崎果連( 〃)

  冬ぬくし記憶のピース持ち寄れな    井口如心( 〃)

  

その他、本誌より、幾人かの句を挙げておきたい。


  春雪の掌に載る重さともならず     董 振華

  飛花落花次の処へ迷ふかな        夏 英

  わさびよく効きすぎている春の昼   津久井紀代



      撮影・芽夢野うのき「紫陽花の横顔ばかり海暮れて」↑

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