渡邉弘子「母の日のひとこともなく暮れにけり」(第173回「吾亦紅俳句会」)・・


 本日は、第173回「吾亦紅俳句会」(於:立川市高松学習館)だった。兼題は「新樹」。以下に一人一句を挙げておこう。


  いずこより新樹ふるわすカンパネラ         佐藤幸子

  新樹光無き瓦礫畳畳(じょうじょう)戦下の地    牟田英子

  母の日の母梳(くすけず)る九十九(つくも)髪  吉村自然坊

  走り出す茅花流しに囃されて            田村明通

  知覧発ち帰らぬ兵や蛍とぶ             齋木和俊

  乳母車天使の寝顔新樹陰              関根幸子

  太陽フレア磁気あらしハテ新樹光          渡邉弘子

  窓際にテーブル移す五月来ぬ            西村文子

  夏めくや一人に余す終の家             奥村和子 

  「イエスタディ・ワンス・モア」と新樹光      松谷栄喜

  薫風や兄は彼岸の母のもちと            武田道代 

  深呼吸新樹の生気お福(ふく)分け         村上さら

  万緑や断崖に挑むクライマー           折原ミチ子

  鯉のぼり白い雲喰いみな悠々(ゆうゆう)      笠井節子

  紫蘭咲き小さき庭に春の風             高橋 昭 

  揚羽蝶肩にそうっと三回忌            三枝美恵子 

  ガザの地にミレーの描くゆやけかな         須崎武尚

  千枚田復興願う田植えなり            佐々木賢二 

  夢に来る死者あまたなり山ざくら          大井恒行


 次回は、6月28日(金)、兼題は「短夜」。また、図書館俳句ポスト(現代俳句協会主催)2月の選句結果に、吾亦紅俳句会から、佳作・入選に2名掲載されていた。題は「早春」。



  早春や木の根で拭ふ靴の泥        松谷栄喜

  駅いでしやがて一人の春の月       佐藤幸子



 そして、松谷栄喜は、朝日新聞俳壇の高山れおな選(5月12日)に4席に入選。


  裁く人裁かれる人万愚節         松谷栄喜



★閑話休題・・たかまつり「第42回 高松学習館文化祭」(於:立川市高松学習館)令和6年5月31日(金)~6月2日(日)午前10時~午後4時まで・・



 吾亦紅俳句会は俳句短冊20点をテーマ「住」で展示する。お近くの方は散歩がてらにお寄り下さい。



      撮影・芽夢野うのき「万物を壊してああ、五月の光よ」↑

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