桑原三郎「父の日の父を思へば母の顔」(「トイ」Vol.12)・・


  「トイ」Vol.12(トイ編集室)、「あとがき」は干場達矢、それには、


  2024年2月22日という日を感慨をもって迎えた。この日、日経平均株価の終値が34年ぶりに最高値を更新した。

 私はバブル期崩壊後の1997年に社会に出た。暗い時代だった。景気が悪かっただけではない。コーポレートガバナンスは未熟で、コンプライアンスに意識は低かった。

 「失われた30年」というが、その間に日本人はどれだけ努力し、賢くなったか。株価はその結果。困難な時代を生きてきた氷河期時代の一人として、今しみじみそう思うのである。


 とあった。ともあれ、本誌本号より、いくつかの句を挙げておきたい。

 

  もう誰も寄らぬ手焙なれどまだ       青木空知

  冥途まで徒歩では無理か花なずな      池田澄子

  水切りの石を弾いて水温む         仁平 勝

  皇室と関わりのない物干し場       樋口由紀子

  髭面を泣かせてしまふ四月馬鹿       干場達矢

  だんだんに一年早し日短か         桑原三郎

  フランスへフランス人を見に行った    佐藤みさ子



★閑話休題・・田中淑惠のアートブック2024「掌の上の小さな本」(於:東京都美術館1階 第3.第4展示室[ムサビズム展]4.10~4.16・火)・・


  
 昨日は晴天に恵まれた。桜も様々な種類がまだ残っていた。東京都美術館で開催されているmsb-ism/90th/Exhibition[ ムサビズム展](主催:武蔵野美術大学校友会 関東合同展実行委員会/後援:武蔵野美術大学、武蔵野美術大学校友会)に出かけた。リーフレットの武蔵野美術大学学長 樺山佑和の「武蔵野美術大学校友会関東圏合同展によせて」の中に、


 (前略)展覧会とは一つの場であり、制作が神事なら展覧会はお祭りのようなものです。自身の感覚と感情を作品に落とし込む作業は、宇宙や自然、あるいは内面や見えないものとの対話であり、神聖で孤独な単独行です。

 一方、展覧会は制作した作品を持ち寄り大勢で語り合う場であり、非日常が現生するお祭りなのです。(中略)

 世界は今、形の見えない混沌とした不安に包まれています。そんな時代だからこそ、私たちの作る行為によって溢れ出すエネルギーが、少しでも不安を払拭し、闇を打ち払うのだと思います。私たちにとって作るという行為は一生ごとであり、人生を送るということは、人生を作るということに他なりません。/つくる万歳!


 とあった。


  撮影・中西ひろ美「これはもうヒメオドリコソウの巣じゃないか」↑

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