田中葉月「大いなる凡庸大いなるオリオン」(「俳句新空間」第19号より)・・


 「俳句新空間」第19号(発行人 筑紫磐井・佐藤りえ)、特集は「コロナに生きてⅣ―—皐月句会(令和2年)」。他に佐藤りえ「句集歌集逍遥/筑紫磐井『戦後俳句史nouveau1945-2-23ー三協会統合論』」、エッセイに中島進「俳句の課題はなにだろうか」。鑑賞句評にもてきまり「玄玄帖鑑賞」、小野裕三「『俳句新空間』18号 句評」。

 「龍神帖」より、とりあえず、「豈」同人のみになるが、以下に紹介しておきたい。


  みるだけで楽しき時間君の咀嚼      筑紫磐井

  旗日とてはためくものを横にする     加藤知子

  一月の最後のあかり消す厨        神谷 波

  どこからか軍歌わきたつ花筵       川崎果連

  したたりのやうにも使ふ寒の水      佐藤りえ

  モルヒネで断たれし虚空白泉忌      清水滋生

  幽霊の舞踏会鍾乳石柱のあまた     高橋比呂子

  風花やパントマイムの眉がしら      田中葉月

  生命の韻律かなでる不可視の「それ」   冨岡和秀

  穴馬がくるぞくるぞと着ぶくれて    なつはづき 

  白い影 この八月を昼も夜も       夏木 久

  炎天の土のくすみや君の骨        中島 進

  乱起こり一兵卒の短き詩         中嶋憲武

  眼球にもはや視野なし龍の玉       堀本 吟

  りんご煮る昭和の母の秘事数多     眞矢ひろみ



     撮影・中西ひろ美「街灯が明るくなった土筆かな」↑

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