草壁焔太「子どもは/いつも/走っている/未来が来るのが/待てないのだ」(「川柳スパイラル」第20号)・・


 「川柳スパイラル」第20号(編集発行人・小池正博)、特集は「川柳を見つけて/『ふりょの星』『馬場にオムライス』批評会」/2023年11月19日(於:北とぴあ)、パネリストは穂村弘・平岡直子・郡司和斗・川合大佑、司会はササキリュウイチ・暮田真名・小池正博。他に連載第20回飯島章友「小遊星」。その「小遊星」の中に、


 飯島 本日のゲストは五行歌の作歌をされていり水源純さんです。二〇二二年に第4歌集『まだ知らない青』(市井社)をそらまめ文庫から上梓されました。(中略)

 この誌(愚生注:川柳スパイラル)は柳人を中心に俳人や歌人、詩人、連句人の方もご覧になっています。その中には五行歌を知らない方もいると思うんです。そこで初めに五行歌の形式・定義を教えて下さい。

水源 一言で申しますと「五行で書く歌」です。わかりやすくかいたものとして、五行歌五則というものがあります。そこには、和歌と古代歌謡に基づいて生まれた新形式であること、例外として四行六行のものもあること、一行の意味、詩歌らしいものであることなどが書かれています。五行の五番目は、ほかに「制約をもうけない」なのですが、私はこれが五行歌という形式を最もよく表してしるとおもっています。とにかく自由であれ、というメッセージのようで。


とあった。ともあれ、本誌本号よりいくつかの作品を挙げておきたい。


  眷族もつるつる音を立てている      畑 美樹

  分離した時間をつなぐ羊歯の会      川合大祐

  前世の指紋みつけに図書館へ       飯島章友

  よろしいかあれはその日の秋津島    清水かおり

  暗闇をいいねばりの責めに帰す      湊 圭伍

  武士道も外道も舗装され無限       兵頭全郎

  しゃっくりの度に壊れていく大地     悠とし子

  詩に痩せることなどなくて合言葉     小池正博

  夜遊び卒業 YOASOBI入門     浪越靖政


  見つめ合う時間は

  ながいみじかいよりも

  その深度

  一瞬で

  深海までゆける             水源 純


  あっ

  春

  風の

  芯が

  まるい                 酒井映子 



      撮影・中西ひろ美「遠くから見ても兄弟新入生」↑

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