野口佐稔「つなぐ手は互いの介助春の雲」(令和6年度 東京多摩地区現代俳句協会陽春句会)・・


  本日、3月23日(土)は、2024年度(令和6年)東京多摩地区現代俳句協会定時総会・陽春俳句会(於:武蔵野スイングホール)だった。吉村春風子会長の退任で、新会長に水野星闇が就任された(上掲写真)。

 以下に、陽春句会の中から高点句、また、愚生の選句した句を合わせて挙げておこう。


  うりずんの海揺れ輸送機の轟音       満田光生

  雲割れて三月兎の子だくさん        有坂花野

  冴え返る夜や忍び手に友を送る       水野星闇

  職安の前に群る影春浅し         山本みつし

  ガザの子供(こ)の心の冬芽むしる日々   武藤 幹

  どの家も夜が来ている雛祭         好井由江

  立春や猫のまなざし猫のちえ        山本徳子

  葱切つてあとは十年生きてやる       米澤久子

  春耕や土は混声合唱団           芳賀陽子

  削られし武甲の山も笑いけり       一ノ瀬順子

  梅咲いて誰か訪ねてくる予感        蓮見徳郎

  なまはげの残していった藁二本      佐々木克子

  独り居の父訪ふも旅はじめ        秋山ふみ子

  十二単の陽光探す春野かな        石橋いろり

  図書館の椅子は直角ヒヤシンス       根岸 操

  銭湯の灯りて映ゆる門の梅         大森敦夫

  三針の時計で春がやって来る        永井 潮

  春は曙というけどまだ眠い         三池 泉

  土星の環に並べてみたき蕗の薹      佐怒賀正美

  鳥帰る陰画の能登を置き去りに       望月哲士

  春耕の土黒黒とにおいけり         戸川 晟

  余寒なほ時には枷となる絆        吉村春風子

  半分は眠りにまぎれ梅咲けり        大石雄鬼

  どんよりと曇りて雪になる気配      山崎せつ子

  笑うことも泣くことも無き紙雛       笹木 弘

  乳飲み子のあーうー魚は氷に上る      伊東 類

  人死んで生まれて生きて草萌ゆる      江中真弓

  白菜割るや火炎光背顕るる         鈴木浮葉

  淡雪の水より少し明るきか         大井恒行



    芽夢野うのき「うねるのか唸るのかはっきりせよと雪柳」↑

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