佐藤通雅「魚雷艇はベニヤ板ドローンは段ボール人は人であるほかになし」(「KIGAZINEI 飢餓陣営」vol.58より)・・


  「KIGAZINEI 飢餓陣営」vol.58 2024春号(佐藤幹夫個人編集/編集工房飢餓陣営)。特集1は「戦争―—ガザ・イスラエル・イオニズム」、特集2は「福祉の『ことば』は今、どこにいるのか―ー辺見庸と石井裕也 それぞれの『月』を中心に」。総ページ330ページ余に及ぶ大冊である。当然ながら、愚生には、まだ読み切れていない。ここでは、佐藤通雅の短歌をまず、いく首か挙げておこう。もう、ずいぶん昔になるが、仙台から発行されていた佐藤通雅の個人編集誌「路上」に、俳句を寄稿したことがある。若かった愚生には名誉なことであった。そして、あとひとつは、特集1から、「沖縄への思い(8)/水島英己『ガザ・島、絶対不戦、負ける勇気』」から、「川満信一 琉球共和社会憲法C私(試)案より」を孫引きしておきたい。


 外履きのサンダル叩けば光沢を伴ひて星の砂は散るなり    通雅

 今の今、線状降水帯のど真ん中水の太帯が坂を滑走す

 炎暑去りし夕の園に親子来てボールをゆるりゆるり投げ合ふ

 無印はいいとして粗悪かも知れぬ頬杖ついて時に自省す

 家事力を試されてゐててのひらの豆腐を少し斜めに切つてしまふ

 遺言書に手を加へねばと錠開けるたびに思ひて早も十年

 借金をするにも昂然啄木の若き額を想ふときあり


 第十二条 琉球共和社会の象徴旗は、愚かしい戦争の犠牲となった「ひめゆり学徒」の歴史的教訓に学び、白一色に白ゆり一輪のデザインとする(琉球共和社会象徴旗)

 第十三条 共和社会のセンター領域内に対し、武力その他の手段をもって侵略行為がなされた場合でも、武力をもって対抗し、解決をはかってはならない。象徴旗をかかげ、戦意のないことを誇示したうえ、解決の方法は臨機応変に総意を結集して決めるものとする。


 最後に、【連載】〈長い戦後〉を考える〉(第六回)/添田馨「大江健三郎と“戦後憲法“―—『象徴天皇制』は革命対象たりうるか」についてだが、愚性の紹介の手に余るので、本誌本号の本文に、是非、直接あたられたい。また、神山睦美主催「書評研究会レポート/戦争詩と『戦時下の抒情』/青木由弥子『伊東静雄ー戦時下の抒情』を読む」には、旧知の俳人にして詩人の古田嘉彦の言が読めたのは、嬉しかった。



     
撮影・中西ひろ美「次の人呼ばれて春の日のにおい」↑

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