中村猛虎「回天や海鼠を切れば水溢る」(「句会 亜流里 いざ見参!」2023年冬の号より)・・

 

「句会 亜流里 いざ見参!」2023年冬の巻(代表・発行人 中村正行)、原英俊の記事中に、「姫路文化賞受賞・中村猛虎」とある。それには、


 中村正行(本名)の受賞は、地元の俳句文化高揚の貢献による。具体的には、

⓵平成17年(2005)句会亜流里の創設

②播磨芭蕉忌フェスティバルの長期開催

③姫路市内の小中学校への俳句出前授業の実施

などである。


 とあり、「回天や海鼠を切れば水溢る」での、第30回西東三鬼賞の受賞もあるのではという。また、「平成23年(2021)姫路風羅堂12世襲名。令和2年(2020)、句集『紅の挽歌』発行」、さらに、「令和3年(2021)俳句雑誌『句会 亜流里 いざ見参!』の創刊」、ともあった。ともあれ、本誌本号より、いくつかの句を挙げておこう。


  お山焼おそばにゐるも一会なる      原 英俊

  ヘッドライトに死角ありけり鎌鼬     中嶋常治

  時雨るるや机で削る頭蓋骨        中村猛虎

  複素数虚も実もあり帰り花        伊藤蒼城

  起重機の影北風に抗し立つ        家永妙高 

  十二月虫食い痕の備忘録        井上はるひ

  冬日向踊り場にいる納棺師        今西潤吾

  山茶花や湯だての巫女の神がかる     加藤遊名

  決心を御破算にする冬の波        下司小春

  あをぞらに辿り着けない雪螢      佐藤日田路

  愛猫に言葉教える冬うらら        七条章子

  野晒しの眼窩貫く冬の月         新舎弥生

  導尿の袋ぶら下げ戻り梅雨        新福辰若

  アパートは残り二部屋梅ひらく      管長一路

  別荘の朽ちて皇帝ダリアかな       杉原青二

  観音の千の御手より蝉時雨        竹嶋雅子

  元旦の漁港はためく大漁旗       多田ちあき

  黒子ある口元結び牛蒡引く       谷原恵理子

  波高し鮫を裂く手で襁褓巻く       平井 充

  鬼さへも恋しひとりの節分夜       福永虹子

  砲声を異国に聞くや春の泥       守家まり亜

  冬萌えやお食べ初めの大あくび      保田紺屋



       撮影・中西ひろ美「拳に似木筆とも書く辛夷かな」↑

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