齋木和俊「AI(エーアイ)に脳(なづき)あづけておらが春」(第170回「吾亦紅句会」)・・


 本日、2月23日(金)は、第170回「吾亦紅句会」(於:立川高松学習館)だった。兼題は「早春」。以下に一人一句を挙げておこう。


  戦争の足音なのか鬼は外        田村明通

  紙風船赤き記憶の鼻緒かな       須﨑武尚

  折紙の雛も一緒に桃の段        笠井節子

  両の手に白菜ふたつやじろべえ    三枝美恵子

  AIの予約受付け春うらら        関根幸子  

  晨光の静けさ破る垂雪         村上そら

  風は絵に音は文字として光悦忌     齋木和俊

  老木の番号札や若菜摘む       折原ミチ子

  駅いでしやがて一人の春の月      佐藤幸子

  手作りのゆがみもおかし雛の顔    吉村自然坊

  春夕焼神はいるともいないとも     牟田英子

  天辺が好きな鴉に雨水かな       奥村和子

  春風や空を開いてH3(エイチスリー) 松谷栄喜

  いつもの電車いつもの出口春近し    渡邉弘子

  早春や足の向くまま一人旅      佐々木賢二

  街路樹の根元に嬉し犬ふぐり     井上千鶴子

  梅の花今年も見れし吾八十路(ヤソジ) 高橋 昭

  東風吹くや髪逆立ちて夜叉の如     西村文子

  うたた寝や歳時記片手に春炬燵     武田道代

  老いらくの恋愛論やしずり雪      大井恒行


 図書館俳句ポスト(現代俳句協会主催)の11月号選句結果、題は「小春」。選者は太田うさぎ・寺澤一雄・渡邉樹音。立川市高松図書館では、吾亦紅句会の仲間が5名も佳作・入選に選ばれていた。以下に紹介しておこう。


 

   小春日やすんなり通る針の糸    佐藤幸子

  鳥まねて吹くや口笛小春なり    西村文子

  小春日や脳検結果歳相応      松谷栄喜

  開かぬ蓋ふたりでひねる小春かな  田村明通

  大の字に腹這い小春の四畳半    牟田英子


次回、吾亦紅句会は3月22日(金)兼題は、「耕」。 



 ★閑話休題・・山内将史「シーソーに子供のゐない春の暮」(「山猫便り/2024年2月17日」)・・


 山内将史「山猫便り/2024年2月17日」は個人の葉書通信である。それには、


   水で打つ薔薇には薔薇の躾あり 表健太郎『鵠歌*黄金平糖記』

 薔薇で躾でhさなく。薔薇を躾。ヒリヒリする残酷な青春俳句。

 筑紫磐井の『戦後俳句史』を読む。(中略)今の俳人は俳句に夢を託さない。

 「俳句は常に詩の切れ端なのだ。切れ端こそが力を生み出すのだ」

 という筑紫の断定は痛快だ。俳句こそ原初の詩への先祖返りかも知れないので、詩は常に俳句の延長だと言ってみたい。筑紫の提言する三協会統合に特に意見はないが、実現しそうな気がする。


 とあった。



       芽夢野うのき「金魚その尾鰭だ美しくそれが邪魔」↑

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