押見淑子「能登になお余震のつづく凍鶴忌」(「「山河俳句会・新年会」)・・
本日は、アルカディア市ヶ谷で、「山河俳句会・新年会」(代表・山本敏倖)だった。愚生は、講話で「折笠美秋へのお見舞いメッセージ」と題して、折笠美秋について少しお話をして、その後は約30分間、録音された折笠美秋への声の見舞いメッセージを聴いていただいた。
音源は、1983(昭和58)年3月、大阪で行われた、赤尾兜子青春遺句集『風偏に犬三匹の漢字(はやて)』の出版記念兼赤尾兜子を偲ぶ会の二次会と東京での三橋敏雄と高屋窓秋の声を高柳重信がテープに録音して、美秋へのお見舞いにしたものだ。おまけに、替え歌で、重信による「新興俳句の唄」と「しづかに/しづかに/耳朶色の/怒りの花よ」の歌も入っている。声の主は、今はみな冥界におられる高柳重信・和田悟朗・鈴木六林男・宗田安正・桂信子・三宅美穂・小泉八重子・高屋窓秋・三橋敏雄の面々(収録順)。
新年句会は二句出し、6句選(内1句特選)。愚生は、挨拶句として、
彫り初めの木の香めでたき山河かな 恒行
を投句したが、それと分かって選をされたのは山本敏倖であった。小倉緑村創刊の「山河」は今年75周年を迎えるという。様々な企画を用意されているようだ。ともあれ、以下に、いくつかの句を挙げておこう(愚生は、耳が少し遠いので、全ての作者名を聴きとることが出来なかった。お許しあれ)。
余震なお抜けない棘のように雪 小池義人
寒北斗ぱたんと閉じる棺窓 栗原かつ代
波の花掬えば風の声がする 押見淑子
新年会空けておきたし席二つ 斎藤佳代子
白菜の尻キュッと鳴る初荷かな 秋谷菊野
春まだき黙の重さをはかりかね 泉 信也
鮟鱇鍋仮の世ならば仮住まい 中山愚海
いつまでも長女白鳥にはなれず 釜田二美
象の背のうぶ毛の光る冬うらら 絲布みこ
床(ゆか)に指とどく前屈春まぢか 勝山京子
年迎え心に金継ぎ施して 雨宮葉風
木は森に帰りたがりて冬の鳥 植田いく子
去年今年行先未定の路線バス 岡田恵子
息合せ「おおシャンゼリゼ」春隣 荻野樹美
炉話やいつも脱線天動説 一井魁仙
この国やひっきりなしに焚火揺れ 加藤右馬
来歴もところどころに寒の鯉 土屋秀夫
針穴を象が通る日東京雪 吉田慶子
マキアート冷めるがままの筆始 新倉村蛙
運命(さだめ)とや地震になぶらる明の雪 榎並恵那
うすづけば風にもなるや冬薔薇 小倉正樹(うすづく=春の中が臼、漢字出ず)
若水やわたしをアップデートする 山本敏倖
撮影・鈴木純一「冬日和ネットはげしく揺れたがる」↑
コメント
コメントを投稿