髙野公一「冬空が出口原爆資料館」(「山河」第385号より)・・
「山河」第385号(山河俳句会)、特集は「追悼 髙野公一」。山本敏倖抄出「髙野公一100句」、追悼文に髙橋悦子「『チンチロリンの口髭の』髙野公一さん」、中山愚海「公一さん、有難う」、山本敏倖「突然の訃報」、植田いく子「天空へ 羽のある亀」、桜井万希子「突然のお別れ」、小池義人「清里の星になった公一さん」、山本和子「思い出すことなど」、押見淑子「日輪」、穴原達治「羽のある亀」、泉信也「また逢う日まで」、小倉正樹「思いだすこと」、榎並恵那「公一さんの思い出」、山田ひかる「亀が飛ぶ」、宇田川良子「その一言」、加藤右馬「青空を目指して」。その他、各同人による追悼句。また、「鑑賞 髙野公一の『風の中へ』を読む」には、武良竜彦「戦後日本人の精神的空白を照射する随筆」、一井魁仙「清里の風の中へと旅立ちぬ」。以下に、本誌本号より、髙野公一の句をいくつか挙げておきたい。
心中に鬣(たてがみ)立てて冬に入る 公一
千年の後の良夜に目覚めたし
われ死なばちちははも死ぬ梅の花
手にふれてこの世のものとなる螢
楸邨の鼻に負けたる初鏡
腹の虫この身焼かれるとき鳴かん
降る雪のうしろを暗く降る雪よ
草枯れて天に届かぬ道ばかり
ビー玉の中の銀河を転がしぬ
冬の虹行きたるものは行かしめよ
髙野公一(たかの・こういち) 2023年6月、享年82。
★閑話休題・・山内将史「湿原に父を迎へにゆきしかな」(山猫便り/2023年11月20日)・・
ほれここに
かまししの喩が
来てをるぞ 酒巻英一郎
かまししに似た影が見えるだけ。「かまししのような」か、かまししを形容する「何かのような」が来ている。肌ざわりも味も匂いもない。寂寥を味わう。
鷹はるか砂こそ終の書物なれ 九堂夜想「LOTUS」五十号
砂は書物だから砂漠が図書館だ。人類と宇宙の歴史が収載されている。
越谷のギャラリーKで澤好摩・河口聖展を観た。福間健二脚本監督の「きのう生まれたわけじゃない」をポレポレ東中野で観た。少女が宙に浮かぶ場面が好きだ。肯定感に満たされる映画。
とあった。
鈴木純一「耳が一つ夜間飛行に向き直る」↑
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