久保田和代「枝先に意志漲らす冬欅」(第24回「きすげ句会」)・・


  昨日、12月21日(木)は、第24回「きすげ句会」(於:府中市生涯学習センター)だった。兼題は「師走」。以下に一人一句を挙げておこう。


  寒鯉の尾鰭一振り潜りけり        井上治男

  船揚げし浜に白々冬の月         高野芳一

  恥じらひのふふふは黄色水仙香      濱 筆治

  傘寿なり振り返らずに冬日和       井上芳子

  時雨くる近道近道行き止まり       寺地千穂

  其角が詠み源吾が返す師走かな      清水正之

  風癖の多摩の穂すすき冬没日(いりひ)  山川桂子

  満月の宇宙への穴覗き込む        杉森松一

  ダウン犇めくラッシュに揺られ師走くる 久保田和代

  愛人の遠まわりする師走かな       大井恒行


 次回は、1月25日(木)、兼題は「雪」。



★閑話休題・・松谷栄喜「どうするAI不安交じりの年の暮」(第168回「吾亦紅句会」)・・


 本日、12月22日(金)は、第168回「吾亦紅句会」(於:立川市高松学習館)、兼題は「熱燗」だった。一人一句を挙げておこう。


  小春日はホップステップパンプキン        笠井節子

  ガラポンに昭和の師走廻りけり          田村明通

  歪みたる地球の窪み冬の雷            牟田英子

  まな板の傷の深さや年つまる           武田道代

  それやこれあれも片して年暮るる         西村文子

  熱燗に添えるきんぴら母ゆずり          佐藤幸子

  割烹着のおかみ熱燗縄のれん           渡邊弘子

  おしゃべりのつきぬ姉妹や日なたぼこ       奥村和子

  墓碑銘も讀めず香華の泉岳寺          吉村真善美

  半分の白菜漬ける暮しあり            関根幸子

  三つ編みに伸びる伸びる木冬うらら       折原ミチ子

  熱燗や親父の法名何だっけ            松谷栄喜

  (しがらみ)に囲まれし日々一葉忌       齋木和俊

  元禄も現在(いま)も変わらぬ政(まつり)ごと 三枝美恵子 

  熱燗に晩酌の父酔い早く            井上千鶴子

  老人の窓にサンタが登り行く           村上そら

  冬晴やスマホ片手に傘をさす          佐々木賢二

  熱燗のあと一本が人をかえ            高橋 昭

  火のように火のように落つ紅椿          大井恒行



 高松学習館の高松図書館「図書館俳句ポスト」(現代俳句協会)の9月選句結果(選者は太田うさぎ・寺澤一雄・渡邊樹音)、兼題「蜻蛉」で、吾亦紅句会の佐藤幸子が入選していた。

   赤とんぼ庭から入る母の家         佐藤幸子



      撮影・中西ひろ美「浮寝鳥もしもしだけを繰り返す」↑

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