佐藤幸子「寒昴二人消したる住所録」(第167回「吾亦紅句会」)・・


 本日、11月24日(金)は、第167回「吾亦紅句会」(於:立川高松学習館)だった。兼題は「小春」。一人一句を以下に挙げておこう。


  小春日や人体模型動きだす        佐藤幸子

  未来ある命消えゆく冬の朝        関根幸子

  食べ頃は鳥が知らせる庭蜜柑       松谷栄喜

  開かぬ蓋ふたりでひねる小春かな     田村明通

  小春日の中で広げる世界地図       齋木和俊

  なんでもない日なれど新酒かたむける   西村文子

  大の字になりて小春の四畳半       牟田英子

  一茶忌や小布施に肥った蛙の碑      須﨑武尚

  ひらひらり落ち葉を追って舞う児らよ  三枝美恵子

  南米より来丸太の風呂や小春風     折原ミチ子

  伸びをして信号待ちの犬小春      井上千鶴子

  葉っぱ落ち柿の橙空に映え        笠井節子

  茶の花やただいま宅地造成中       渡邉弘子

  小春日や夢のひととき膝枕       吉村真善美

  小春日に話はずむや散歩道        髙橋 昭

  小春凪じじがばば押す車椅子       奥村和子

  七五三羽織袴に父母愛(いと)    佐々木賢二 

  黄たんぽぽ小春日和に誘われて      村上そら

  埋み火や胸に秘む事多かりき       武田道代

  小春日や疑いのなき日々ありて      大井恒行


  

 次回は12月22日(金)、兼題は「熱燗」。高松図書館には、現代俳句協会「図書館で俳句の投句をしてみませんか」という俳句ポストがあり、毎月月末に投句を締め切っている。選者は太田うさぎ・寺澤一雄・渡邊樹音。8月の選句の結果が発表されていて、吾亦紅句会の3名の方が入選していた。皆さん、なかなか頑張っておられます。


  横丁太鼓鳴りだす秋まつり     佐藤幸子

  これからも迷へば左月見草     田村明通

  稲妻や分からぬ言葉多くなり    奥村和子



 ★閑話休題・・岡田由季「花鶏五羽一樹のなかにしづもりぬ」(「ユプシロン」No.6)・・


「ユプシロン」No.6(発売 小さ子社)、その中田美子「あとがき」の結びに、


 (前略)世界は同じように存在しているのかもしれないけれど、まなざしの向かうところは変わる。そうして、毎年少しづつ変わる私たち四人の世界が、作品になっていれば嬉しいと思う。


 とあった。ともあれ、一人一句を挙げておこう。


  石叩きあなたの中の高い楡       小林かんな

  風花に明日の消印をもらう        仲田陽子

  なぞなぞの邪悪な展開紅葉降る      中田美子

  真つ直ぐのわからなくなり揚雲雀     岡田由季



           鈴木純一「人形の家はしぐるゝピアノかな」↑

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