蓮見徳郎「吾輩は何だったのか漱石忌」(第41回東京多摩地区現代俳句協会俳句大会)・・


                                      撮影・水野星闇↑

  昨日、10月29日午後2時~は、第41回東京多摩地区現代俳句協会俳句大会(於:武蔵野スイングホール)だった。記念講演は大井恒行「高屋窓秋について」であった。愚生の句を特選に採っていただいたのは、特別選者の高橋宗史(千葉県現代俳句協会副会長)で、短冊と最近出された詩集『芭蕉の背中』(コールサック社)を頂いた。ブログタイトルにした蓮見徳郎「吾輩は何だったのか漱石忌」は、本大会賞の作品である。その愚生の句と、特選賞の短冊句は、高橋宗史「蝉しぐれ名残りの熱が棲んでいる」。他の特選句と選者名を挙げておこう。


  逢いたいという無花果に陽のぬくみ   大井恒行(高橋宗史選)

         高橋宗史「蟬しぐれ名残りの熱が棲んでいる」↑

  陽炎が輪郭になる国家かな       山本敏倖(大井恒行選)

  天国に多くの友人星月夜        松本峯子(田畑ヒロ子選)

  人生の不付箋ばかりがいわし雲     今野龍二(長谷川はるか選)

  震災忌未来はいつもつくられる     川崎果連(安西 篤選)

  話そうよトマトは青いままだけど    玉井 豊(前田 弘選)

  踏青やされど戦車の轍かな       桑田制三(遠山陽子選)

  帰省子に父母あり土の匂ひあり     増田信雄(冬木 喬選)

  吾輩は何だったのか漱石忌       蓮見徳郎(三池 泉選)

  天瓜粉打たれ無邪気な母となる     永井 潮(三浦土火・津久井紀代選)

  農を捨て東京で茄子を育てをり     谷川 治(江中真弓選)

  食卓の西瓜の値上げにある戦争     野口佐稔(吉村春風子選)

  自転車で茶菓子の届く西瓜小屋     大森敦夫(根岸敏三選)

  まだ紙を知らぬ鋏や渡り鳥       西野奏子(永井 潮選)

  水を打つ風の違いを感じつつ     川島由美子(山崎せつ子選)

  全席が自由席です仏の座        桑田制三(戸川 晟選)

  風の盆手のひら宇宙と交信す     田畑ヒロ子(小山健介選)

  少し休む勇気のあれば楤の花     石橋いろり(根岸 操選)

  蚕豆やとほき日暮れのにほひ立つ    淵田芥門(蓮見徳郎選)

  春立つや妻逝きし日はカレンの忌    満田光生(水野星闇選)

  種袋振れば未来の音がする       國分三徳(佐々木克子選)

  決心は一日のひと日の螢草       根岸 操(石橋いろり選)

  膝に来る柿の固さの男の子       関戸信治(大森敦夫選)


その他の愚生の選句は、


  火焔土器忿怒でありし原爆忌     田畑ヒロ子

  一日の余白を埋めるかなかなかな   川島由紀子

  初夏の風手話の動きと目の動き     根岸敏三

  雨夜の月気づけばタイポグリセミア  石橋いろり

  ああ満州どこかに遺骨空高し      石原俊彦

  背伸びして高き返事や入学児      菅沼淑子

  噴水はもう噴水にあきている      前田光枝

  ほろほろと月光母の位牌まで      武藤 幹

  大花野世にあるものの魂宿る      菅山宏子

  野風白百合飛ぶならいまよ鳥になれ  鳥居真里子



       芽夢野うのき「あっぱれなどんぐりとて独遊なり」↑

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