奥村和子「廃線のレールの錆(さび)やすがれ虫」(第166回「吾亦紅句会」)・・


  本日、10月27日(金)は166回「吾亦紅句会」(於:立川市高松学習館)だった。兼題は「紅葉」。以下に一人一句を挙げておこう(おおむね高点順)。


  決断は晴れた午前の秋日(あきび)かな     笠井節子

  嵯峨野ゆく吾が後先の散り紅葉         武田道代

  熊除けの鈴の音包む紅葉みち          松谷栄喜

  思うよにいかぬが条理神無月          西村文子

  啄木鳥(きつつき)の確かなる音森の中    井上千鶴子

  秋深し何かが足りぬ爪を切る          牟田英子

  松茸に十三桁のインボイス           田村明通

  枝付きの紅葉かざすや母の部屋         佐藤幸子

  白さぎや水質検査秋の晴           折原ミチ子

  爽籟(そうらい)や八冠王にある気魄      須崎武尚

  木守りや今や消えなむ子守歌         吉村眞善美

  人間も自然の一部さいわし雲          関根幸子

  星月夜序列社会の疎ましさ           齋木和俊

  ありんこもわたしも急げ渡る道        三枝美恵子

  だっこする君の手の先赤もみじ         村上ソラ

  雀たち落穂をくわえ舞上る          佐々木賢二

  機上より瀬戸の小島の夕紅葉          渡邉弘子

  郷里帰り棚田見事に頭(こうべ)たれ      高橋 昭

  旅の宿紅葉ひとひら露天風呂          奥村和子

  角を曲がれば紅葉の街となりにけり       大井恒行


 その他、愚生が「天」に頂いた句は、


  金木犀匂うデスクの手が止まり        笠井節子

  舟めぐり色なき風を通り抜け         関根幸子

  

 である。次回は、11月24日(金)。兼題は「小春」。



           鈴木純一「いわしぐも高層ビルに越境し」↑

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