照井三余「びしょ濡れの老人荒涼の地下」(第53回「ことごと句会」)・・
★閑話休題・・和田久太郎(酔峰)「もろもろの悩みも消ゆる 雪の風」(『黒旗水滸伝』より)・・
竹中労著・かわぐちかいじ画『黒旗水滸伝(大正地獄篇 上・下巻)』(皓星社)、解説は上巻が栗原幸夫、下巻が井家上隆幸。実務者「あとがき」に夢幻工房とある。その解説に、
当初、第一部「大正地獄篇」、第二部「昭和煉獄篇」、第三部「戦後浄罪篇」という三部構成で構想されたこの作品は、結局、第一部を完成させただけで終わったが、しかしこの「大正地獄篇」だけでもこ国の「過渡期」の世情とそこに生きる人びとの雰囲気をなまなましく今日に伝えることに成功したと言えるだろう。
と記しており、竹中労は、巻末の「第五十三回/大団円/わが闘病の記」に、
京太郎・激痛をこらえて、最終回のペンを走らせている。(中略)
…‥連載中「事実と違うのではないか」というご指摘を、度々ちょうだいした。それはおおむねいわゆる“文献“に依拠したクレーム、あの書物にはこうある、この記録ではこなっているというものであった。(中略))
文献や記録は死んだ文字だから(・・・・・・・・)、「劇画」で描いているのダ。つまりデータをふまえた、創作なのである。さよう作者の勝手でしょ。
とあった。ここでは、本書中のほんの少しの詩歌作品を紹介しておきたい。
春三月、縊(くび)り残され花に舞ふ 大杉 榮
白鋼で身を売る夜の寒さかな 芥川龍之介
限りなき 時と空との/ただなかに/小さきものの何を争ふ 管野スガ
ぬばたまにほのと浮べる辻占の紅提灯を見つめて答えず 和田久太郎
自由廃業で廓は出たがソレカラナントショゆき場のないので屑ひろい~ 添田啞禅坊
竹中労(たけなか・ろう) 1930年~1991年、東京生まれ。
かわぐち かいじ(かわぐち・かいじ) 1948年、広島県尾道市生まれ。
芽夢野うのき「行って帰ってまだ紫蘇実の青き」↑
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