須崎武尚「満州に未だ彷徨(さまよ)う赤とんぼ」(第164回「吾亦紅句会」)・・


  本日、9月22日(金)は第164回「吾亦紅句会」(立川市高松学習館)だった。兼題は「蜻蛉」。そして、句会ののちは、駅前の居酒屋に席を移して、新入会員と愚生のために歓迎会を開いて下さった。以下に一人一句を挙げておこう。


  多次元の宙(そら)見透かすや蜻蛉の眼   齋木和俊

  あっ、あそこ願うまもなく星流れ      西村文子

  散村にバインダ唸る豊の秋         田村明通

  少年の網搔(か)い潜(り)鬼やんま    松谷栄喜

  槍投げの女子の笑顔や天高し        渡邉弘子

  フランスは絶滅だけどラ・フランス     関根幸子

  罪深きホモ・サピエンスの秋思かな     須崎武尚

  秋海棠小さき花に意地を見せ        高橋 昭

  秋袷母の形見の帯締めて          武田道代

  箒目や突然偶然秋の蝶          折原ミチ子

  急坂を登り天まで秋うらら         奥村和子

  イーゼルに止まりしとんぼ多摩の山     佐藤幸子

  約束は金木犀(きんもくせい)の香る宵  三枝美枝子

  吹く風は移ろう季(とき)をさわやかに  井上千鶴子

  銀やんまぎょろり眼玉で何を見る     吉村真善美

  秋の峰電車に手振る村人よ        佐々木賢二

  その位置は去年と同じ赤とんぼ       笠井節子

  はるかなる飛行機雲や秋あかね       大井恒行


  

★また、現代俳句協会主催「図書館俳句ポスト」(上掲写真)6月選句結果が発表され、高松図書館の通路に貼りだされていた。選者は、太田うさぎ・寺澤一雄・渡邉樹音。兼題は「辣韭」。「吾亦紅句会」の方が入選されており、入選句は、佐藤幸子「子に持たすらっきょう小瓶に移しけり」であった。 

 次回は、10月27日(金)、兼題は「紅葉」。


 

        撮影・鈴木純一「王中の王のカメムシ助けてやるぞ」↑

コメント

このブログの人気の投稿

田中裕明「雪舟は多く残らず秋蛍」(『田中裕明の百句』より)・・

秦夕美「また雪の闇へくり出す言葉かな」(第4次「豈」通巻67号より)・・

山本掌(原著には、堀本吟とある)「右手に虚無左手に傷痕花ミモザ」(『俳句の興趣 写実を超えた世界へ』より)・・