井上治男「母の手に添える子の手や墓洗ふ」(第21回「きすげ句会」)・・

 


  本日は、第21回「きすげ句会」(於:府中市中央文化センター)だった。兼題は「茸」。

以下に一人一句を挙げておこう。


  余命賭し集く虫の音ふと消ゆる         中田啓子

  秋ほたる姉妹保護され父のDV        濱 筆治

  秋暑し使い回しのパスワード         高野芳一

  秋空の変顔競う子どもかな          杦森松一

  空澄みて何でもない日茸汁          井上芳子

  居待月一つ家に灯のこぼれをり        井上治男

  猿の腰掛幻の猿座らせて          久保田和代

  美人の儘逝きて十年秋彼岸          寺地千穂

  汗かいて梨をペロリと独り占め       大庭久美子

  源平の幟もかくや曼殊沙華          清水正之

  エノコロの穂の雨粒の瑠璃の色        山川桂子

  草片(くさびら)のひらひらひらやひだる神  大井恒行


 次回、10月26日(木)は、浅間山での「きすげ句会」初めての吟行句会の予定である。そして、次々回にの11月9日(木)の兼題は「冬紅葉」。



★閑話休題・・与謝野鉄幹「子等無くば地震(ない)の中よりふためきてわれを見苦しく逃れたらまし」(『文豪たちの関東大震災』より)・・


 児玉千尋編『文豪たちの関東大震災』(皓星社)、その解説の「終わりに」に、


 (前略)本書編纂に際して再びリストを拡充したが、ちょうどその時に、国立国会図書館デジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/)の機能が大幅に改良され、全文検索と個人向けデジタル化資料送信サービスが始まり、リスト作成に大変役立った。紙幅の関係で、本書ではその一部を「『関東大震災』関連雑誌記事リスト」として収めるにとどまったものの、末尾のQRコードを読み込んでいただければ、本書で割愛した部分もご覧いただける。関東大震災から百年が経ち、当時書かれた著作物は著作権が切れたものも多く、国会図書館デジタルコレクションで大半を読むことが出来る。リストを参考に、本書に掲載できなかった分も読んでいただければ幸いである。


 とあった。


 児玉千尋(こだま・ちひろ) 東京都生まれ。

  


     撮影・中西ひろ美「まだまだと言っているのも秋の声」↑

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