鳥居真里子「あ、あれは天の鳥舟ゆきむしが舞ふ」(「俳句と音楽の夕べ『天女の手毬』より)・・

 



朗読作品↑

 昨夕、7月28日(金)午後5時より、日暮里・本行寺(別名 月見寺)で、鳥居真里子(俳人)・ 蜂谷真紀(シンガーソングライター、ボイスパフォーマー)・竹内直(テナーサックス、バスクラリネット)による「俳句と音楽の夕べ『天女の手毬』」のライブが行われた。会場は約80名ほどでほぼ満席状態だった。

 愚生は、三度目の本行寺だったが、最初に来たのが、村上護の偲ぶ会だった。それゆえ、ここ本行寺にある村上護の墓にまず手を合わせた。本行寺は江戸時代、通称・月見寺とも呼ばれ、小林一茶も滞在したことがあり、一茶「陽炎や道潅どのの物見塚」や山頭火「ほつと月がある東京に来てゐる」の句碑がある。


                  村上護墓碑↑
                  一茶句碑↑

                山頭火句碑↑

 開会にあたって、本日のプロデューサーである本行寺住職・加茂一行から「一座建立」のお話があり、ライブに入り、まず、鳥居真里子の既作品の朗読21句から開始され、その中から演奏者の気に入った句への即興演奏。そして、その演奏を聴いている間に、創作された句が読み上げられる。休憩を挟んでのサプライズは、本日の客人のなかに居た白石正人の句「蠅生まる寂しきものに洗面器」が書かれ読まれ、その句に、即興で蜂谷真紀が応じ演じた。次に愚生の句「針は今夜かがやくことがあるだろうか」が記され、竹内直が、これまた即興で演奏をされた。先の白石正人がその感想を聞かれていたので、愚生にもあるかな?と心づもりはした。その際、彼の名前「竹内直」を詠みこんで、「針は今夜直ぐなる竹の内にあり」と、即吟で応えた。そして、会場から、他に、俳誌「門」同人の方々が即吟で応えられていた。


              本行寺住職・加茂一行↑


           
                  白石正人の句↑    


 因みに、鳥居真里子が即興で詠んだ句は以下である。すべてではないが記しておこう。


  幽霊がこはがつてゐる鶴の羽根        真里子

  火蛾白蛾陽は生きながら沈む

  アマリリスひのもと丸洗ひしてアマテラス

  鉄塔に男が一人夕焼る

  金魚は花槐ヤーイキセル持つてこい

  流星をかすつた花鶏の眼は鈴

  生者死者あはだてゐたる夜の金魚

  一頭の月夜いななく紅蓮かな

  打ち破れわたしのこころ彼岸花

  まほろばの月がアフリカ象の上

  裸で歩け転がつてこほろぎでゐる

  鶴しづか紅き紐を垂らしてゐたる

  たましひを吸ひ唄ふ岸辺のレモン

  夜風夏風卵の葬列丸し白し

  八月が来る黒き石鹸あはだてて

  昔人類ムカシヨモギをかこつてゐたか

  とこしへに露草叫び兎神国

  かなかなも沈黙あら木が燃える

  愛は紫蘭ひとゆれしてしーと坐忘

  夢よりもこぼるるせせらぎ貝の蓋

  夏霧や汝の霧は汝の母の胸

      そつと側にひぐらしのこゑつまむ

  花の字は死にて黒百合は恋の花



★閑話休題・・杉本青三郎「忘却の櫂からみつく青みどろ」(第157回「豈」東京句会)・・


 本日7月26日(土)は、隔月開催の「豈」東京句会(於:白金台いきいきプラザ)だった。以下に一人一句を挙げておこう。


  蝉時雨よもつひら坂通り抜け         小湊こぎく

  深窓に居ずまい正す白リンドウ         早瀬恵子

  おそろしきおろしやはるか白粉花       杉本青三郎

  七夕笹さらさらLGBTQ            羽村美和子

  黙祷の首筋に蚊のとまりけり          川崎果連

  昭和の負が文脈や他国にも自我        川名つぎお

  深海の魚に遠き夏の空            伊藤左知子

  夏すみれ末裔(すえ)なる杜(もり)を囲みける 大井恒行


 次回、第158回は9月30日(土)、雑詠3句持ち寄り。



         芽夢野うのき「みんなナガバギシギシ夏負けや」↑

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