池田澄子「焼き尽くさば消ゆる戦火や霾晦(よなぐもり)」(「東京新聞」7月15日(土)夕刊より)・・
俳句時評・「相子智恵の/俳句の窓から」(「東京新聞」7月15日付夕刊)は、「明日は平時か」と題されて、池田澄子第8句集『月を書く』(朔出版)と『三橋敏雄の百句』(ふらんす堂)についての 評である。その結びに、
(前略)池田の師、三橋敏雄もまた問い続ける俳人であった。〈戦争と畳の上の団扇かな〉〈あやまちはくりかへします秋の暮〉などの句がある。池田は『三橋敏雄の百句』の解説で〈軍国主義の国家によって成功に至らないままに前途を閉ざされた無季新興俳句と、その作者たち、そしてまた戦争という理不尽なものに殺された人間の無念を、敏雄は謙虚に一生そのことに拘り続けた〉と書く。この姿勢は池田も同じだ。〈信ずれば平時の空や去年今年〉の句の解説に〈呑気に信じていれば明日起こる戦争も、起こるまで分からない〉と書いた池田は、自らの最新句集に次の一句を収めた。〈夕顔の蕾うごきぬ明日は平時か〉
とあった。
★閑話休題・・・池田澄子「鏡は今日も私を映し寒い夏」(「トイ」Vol.10)・・
池田澄子つながりで「トイ」Vol.10。その干場達也の「あとがき」に、
対話型AIのChatGPTで遊んでいる。本誌同人に池のつく俳人がいるが、この人が何者か知っているかと訊いてみた。すると自信満々に「日本の有力な宗教団体のリーダーです」と答えたのでのけぞった。
俳句も書かせてみた。1分あれば100句くらいは出力する。西鶴の顔色なからしむるスピードだ。もちろんでたらめだが、手を入れれば句会にだせそうなものもけっこうある。(中略)そのうち俳句投稿欄などで話題になるだろう。
とあった。ともあれ、以下に一人一句を挙げておこう。
この石を親しと思ふ天の川 干場達也
ロッカーのゴミ箱消える変な夏 樋口由紀子
日の丸を掲げて都バス五月来る 青木空知
例のごとくとは花の夜の手の冷た 池田澄子
好きなもの訊けば五月の空といふ 仁平 勝
芽夢野うのき「晩年や向日葵抱いたら似合いそう」↑
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