武藤幹「泣く力泣かない力半夏生」(第51回「ことごと句会」)・・



 本日、7月15日(日)は第51回「ことごと句会」(於:歌舞伎町ルノアール新宿区役所横店)だった。席題1句は「涼」。以下に一人一句を紹介しておこう。

  南吹く用心棒の猫の背           渡邉樹音
  瑠璃玉アザミさわればさわるで叱られる  らふ亜沙弥
  一円(ことごとく)背高泡立草の生ふ    金田一剛
  月涼し七夜も姿見ずに寝て         渡辺信子
  採れたての酸素を抱きし心太        江良純雄
  何食べる問う子どもにも敗戦日       杦森松一
  永遠の嘘のひとつや赤い薔薇        武藤 幹
  蟻んこに追い抜かれる人の路        照井三余
  炎涼というべきに雨歌舞伎者        大井恒行

 次回、第52回目の8月は夏休みで、9月16日(土)。




 ★閑話休題・・佐々木歩「行き場ならある螢まで行つて来る」(「俳壇」2021年8月号より)・・

 愚生の近くの新町文化センターに併設されている地区の図書館に、月刊「俳壇」が置いてある。そして、古くなった雑誌などは、リサイクルの意もあるのだろうか。時期がくると無料で払い下げている。たまたま「俳壇」が2年間分くらい揃っていたので、持ち帰ろうと思ったが、所詮は資源ゴミの日に出す羽目になるから止めた。ただ、雑誌の背を見ていたら、特集「伸び盛り!結社イチ推し俳人50人競泳」というのが目に入ったので、その号だけは貰って帰った。

 話は少し飛ぶが、愚生の古い友人で、山口一夫という人がいる。3年ほど前に俳句をやってみたいというから、彼が足立区の住人だったから、足立区に発行所のある結社が良いだろうと、「門」(鳥居真里子主宰)を紹介した。その後、「門」会員になって、ほそぼそながら続けているらしい。偶然と言えば偶然、その「門」の若いイチ推し俳人の5句とミニエッセイが掲載されていた。これも何かの縁だ思い、「閑話休題」に紹介した次第である。佐々木歩、若い人らしい。ミニエッセイには、以下のように、書かれていた。


🔷例えばの話。片恋の相手はいつも冷たい。なのに稀に、不意に優しい。そんなことをされると、気持ちが振り回される。止せばいいのに、あの幻のような優しさを求めてしまう。俳句とは、そんな関係を続けている。


 思えば、「門」誌は、先々代の鈴木鷹夫、先代の鈴木節子から今までずっと寄贈していただいているので、今月号を開いてみた。会員欄にあった友人と、同人欄の佐々木歩の句を以下に挙げておこう。


  血を食べし薔薇なり昼のくらさかな     一夫

  春の星から人間と目が合つた         歩



     芽夢野うのき「鬼百合よむかしむかしはそばかす少女」↑

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