山内将史「三界をガソリン臭き夏の蝶」(「山猫便り・2023年6月1日」)・・


 「山猫便り/二〇二三年六月一日」(山内将史)。それには、


   あたたかく鶏の高音部が狂ふ    宮入聖『暗泉記』

 喉の熱い血をごぼごぼと掻き混ぜている様な鶏鳴の音程がひと外れる。生理的な変調の表現は宮入聖の得意でファンには醍醐味だ。

 リーン監督「ライアンの娘」を見た。冒頭の日傘が断崖を落ちてゆく場面から魅了された。英軍少佐もトラウマを負っていたかもしれない。(中略)

 福間健二さんは僕に、何か一つに力を集中し世の中に認めさせないと器用貧乏で終わってしまう、と忠告してくれた。「伸びて下さい」とも言われた。僕の詩を一番評価してくれた。ありがとうございました。


 とあった。愚生は、福間健二に一度だけ会ったことがある。20年前くらいであろうか。ワイズ出版の事務所で、故・岡田博と一緒だった。映画についての、彼の本についての打ち合わせだったらしいが、何を話したかは忘れてしまった。その福間健二は、先々月、4月26日に亡くなられた。享年74。合掌!



★閑話休題・・春風亭昇吉「夕焼けやつくばいのある美術館」(6月15日、TVプレバト昇格試験)・・・





 コロナ禍前まで、月に一度の飲み食いをしながらの遊句会のメンバー・仲間であった春風亭昇吉は、句歴にすると、もう10年近くになるかもしれない。その間に、真打にもなり、TVプレバトではとりあえず下のほうの級の特待生4級で、その昇級試験だった。判定は、夏井いつきに現状維持の裁断をされた(本作では妥当なところか)。バラエティ番組だから、というわけでもないが、添削後の句は「作品名『つくばい』夕焼美術館」だった。どう見ても、一句としての句の立ち姿の良さからすると、添削前の「夕焼けやつくばいのある美術館」の方が風趣があって佳いように思うがいかに・・・。

 


       芽夢野うのき「しもつけの白に白旗あげるほかなし」↑

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