渡辺信子「幕は降りる耳目も肺も天に還し」(第50回「ことごと句会」)・・



 本日、6月17日(土)は、第50回「ことごと句会」(於:歌舞伎町・ルノアール新宿区役所横店)だった。兼題は「清」(出題は前回高点だった杦森松一)+雑詠3句出し。以下に一人一句を挙げておこう。


  なるようにしかならぬさ半夏生清(すが)   渡辺信子

  雨音の変わるを数え籠枕            渡邉樹音

  梔子の花錆びてなほ清香あり          武藤 幹

  水無月は吸い取り紙に吸い取られ        金田一剛

  音飛びのレコード盤のラムネ玉         杦森松一

  いずこにも行けぬ蛞蝓日和かな         照井三余

  ねばならぬねばならぬとは茄子の花       江良純雄

  降るはみな花にあらずやきのこ雲        大井恒行



 ★閑話休題・・石井ミモザ「地平なほ平らか成らず穀雨忌来」(「こんちえると」第67号より)・・

 「こんちえると」第67号(牛歩書屋主人・関根どうほう)、「第3回大牧広記念俳句大会」の各選者の天地人が発表され、選評が掲載されている。因みに愚生の天地人と寸評を転載させていただく。


  天 地平なほ平らか成らず穀雨忌来    石井ミモザ

  地 正眼をとおす足跡風かをる      若林ふさ子

  人 春の海まっすぐ延びし架橋いま    嶺岸さとし


 評: 「穀雨」も「正眼」も大牧広の亡くなった日や、句集名に因む。また、「春の海まつすぐ行けば見える筈」の句を踏まえている。いずれの句も師を偲んで秀逸。

  


        芽夢野うのき「撫子やひのもとの国あ、あやふや」↑

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