伊藤左知子「即答とならぬ数秒豆ごはん」(第156回「豈」東京句会)・・


  本日、5月29日は、隔月開催の第156回「豈」東京句会(於:白金台いきいきプラザ)だった。「豈」の句会史上初の日曜日に開催された。これも、担当者曰く、土曜日の会場確保が難しくなっているとのことだった。今や「豈」も、リタイヤ組が多いので、会場が確保できれば、いつでも開催可というところだろうか。ともあれ、以下に一人一句を挙げておこう。


  塹壕をお花畠へ掘りに行く      川崎果連

  千年のうたたねケサランパサラン  川名つぎお

  いつの間に丸めこまれる茂りなり  杉本青三郎

  道草に人をたよりの業平忌     小湊こぎく

  青臭き惑星およぐ黒たまご      早瀬恵子

  朧の夜よく振ってください     羽村美和子

  白よりも白い白です梅花空木     金田一剛

  冷汁に飯ぶっこんでかっこんで   伊藤左知子

  戦争に注意 白線の内側へ      大井恒行 


次回は、7月29日(土)午後1時半~,於:白金台いきいきプラザ。



★閑話休題・・オレク「母は息子のもとへ ウクライナの地に 頭垂れ」(「相子智恵の俳句の窓から」東京新聞夕刊・5月20日付)・・

 「相子智恵の俳句の窓から」(「東京新聞夕刊」5月20日付)で、相子智恵は「俳壇」5月号の仁平勝、筑紫磐井、堀田季何の鼎談「『俳壇無風論』をめぐって」の堀田季何の発言を引用して、


(前略)今はまだ言語的バリアと地理的バリアがありますが、ネットの普及などによってこれらの障壁が無くなり、これもフラットに、近い関係になっていくのでは〉と述べる。

 それを実感したのがNHKのETV特集「戦禍の中のHAIKU」でロシアとウクライナの俳人に取材した馬場朝子が、放送内容に加筆して出版した『俳句が伝える戦時下のロシア ロシア市民、8人へのインタビュー』(現代書館)だ。(中略)

 また、家族や友人との間で分断が起きていることを〈ロシア世界 家庭の出合いは 前線に〉と詠み、〈この出来事(・・・)に関する意見が出てきたとたん、当然ながら、議論が燃え上がりはじめます。「前線」が発生して、戦いがはじまるのです〉と語る。ロシアでは侵攻を「戦争」と呼ぶことが法律で禁止され、「この出来事(・・・)と語るのも重い。(中略)〈特殊軍事作戦 サラダに油 少なめに〉と詠んだ歴史学者べーラは、〈俳句で救われることはありません。詩を書くことでは救われません。つまり、私が感じている恐れや、何かが破壊されている感じは、いずれにしてもなくなりません〉と率直に吐露する。

 戦時下で俳句を手放さず、リスクを冒して取材を受けた彼らの痛みや迷い、恐怖や願いが、「海外の俳人」という遠さではなく、同じ詩を愛する者として、近くに感じられてくる。


 と記している。



      撮影・芽夢野うのき「鳥は何処にでも止まれる赤い木」↑

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