堀田季何」「角砂糖踏みしめ蠅や王の気分」(『俳句ミーツ短歌』より)・・



 堀田季何『俳句ミーツ短歌』(笠間書院)、副題に「読み方・楽しみ方を案内する18章」とあり、帯の惹句には、   

 俳句と短歌を、もっと自由に楽しむために/古典的名作から自由律、AIまで
 俳人であり歌人でもある著者による、俳句と短歌の両方を
 より深く味わうためのガイド。

 「俳句と短歌の違いは?」
 →『切れ』の違い

 「季語を入れて字数を守ればいい?」
 →どちらもない作品もあり

 「内容は実際の経験でないとだめ?」
 →想像上の出来事でOK

 ……などなど、
 気になる疑問に応えます!

「はじめに」には、

 (前略)本書『俳句ミーツ短歌』は、俳句や短歌の様々な側面を紹介することで、また、俳句と短歌の接点と違い(あ、俳句ミーツ短歌!)を紹介することで、誰でも俳句や短歌について「わかった気になれる」一冊である。「わかった気になれる」というのは、専門の学者と渡り合うのは無理にしても、それ以外の人たち相手には大いに語れるくらいの盛りだくさんな内容が、わかりやすく詰め込まれている、という意味である。(中略)学校で教えていたことの間違いを指摘する箇所もあるし、俳人や歌人によっては否定したくなるような箇所もある。
 
 また、「おわりに」では、

 本書は、俳誌「楽園」に連載されていた好評企画「呵呵俳話」の何話かを基に、大幅加筆したものである。「呵呵俳話」自体は、筆者が口頭で俳話(俳諧・俳句に関しての談話)を行い、それを同誌編集部の山崎垂さんが記録して文章化し、さらにその文章を筆者が適宜修正して出来上がる。(中略)口述筆記と大きく異なるのは、リサーチ力に長けた山崎さんが、舌足らずだった部分や引用したい文章などを常に補ってくださる点である。

 とあった。ブログタイトルにした句「角砂糖踏みしめ蠅や王の気分」(他に3句あり)の句には、

 このような雑の句で重要になるのは、季題・季語の本意本情でも季感でもなく、季語的なイメージの喚起力を持つキーワードです。

 と記されている。本文を何カ所も引用紹介したいのだが、愚生のブログはこれが限界、直接、本書にあたられたい。各章の目次をみるだけでも、優れもの、だと知れるだろう。各章の目次を以下に挙げておきたい。巻末に各章ごとの出典が明記されている。

 第一章 日本短詩の変態―—和歌から俳句、川柳へ
 第二章 言葉はどこから俳句になるのか――短歌、俳句、自由詩へ
 第三章 明日はどっちだ――短歌と俳句、寺山修司の場合
 第四章 歌語ネバー・ダイズ―ー短歌、俳句の語彙
 第五章 「わかる」って、何がわかること?―—短歌と俳句の解釈
 第六章 季節は逆に回らない―ー「焼鳥」の本意は野鳥の焼鳥
 第七章 キーワード探偵の冒険——心を開くカギはどこにある?
 第八章 1+1=1—— 一つのものを見つめたり、ふたつのものいをぶつけたり
 第九章 空けたい歌人、切れたい俳人―—歌句の切れ
 第十章 「私」はどこまで「私」なの?——短歌と俳句の「私性」
 第十一章 宇宙人を詠む方法―—俳句とリアリティ
 第十二章 旅の目的は詠むこと――歌枕と俳枕 
 第十三章 お花畑に生きてませんし―ー労働と生活の短歌・俳句
 第十四章 恋しても、恋しなくても詠む恋というもの――恋歌と恋句
 第十五章 ジェンダー的な――短歌と俳句の性と性別
 第十六章 季節のない街で――日本人が海外で詠むとき
 第十七章 外国語俳句がマジョリティ――地球の俳句
 第十八章 AIと第二芸術論―—AIと人間の俳句・短歌

 堀田季何(ほった・きか) 1975年、東京都生まれ。広島、アメリカなどで育つ。 




★閑話休題・・5月27日(土)午後3時~第38回詩歌文学館賞贈賞式・・



 来る5月23日(土)午後3時~第38回詩歌文学館賞贈賞式(於:日本現代詩歌文学館講堂)が開催される。入場料は無料。記念講演は高橋睦郎「老いること書きつづけること」。受賞は、俳句部門は星野高士『混沌』(深夜叢書社)、短歌部門は小池光『サーベルと燕』(砂子屋書房)、詩部門は齋藤恵美子『雪塚』(思潮社)。慶賀・・。



        芽夢野うのき「山桃の黒くなるまで待て鳥よ」↑

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