杦森松一「やまびこのオーイの声で消える虹」(現代俳句講座「金曜教室」2023年度第1回)・・


  昨日、4月21日(金)(於:現代俳句協会会議室)は、現代俳句講座・2023年度第1回「金曜教室」(現代俳句協会会員外の方も参加可)だった。13名のスタートとなった。愚生も二年目になったので、次回からは、句会だけでは、せっかく講座と名付けられているのだから、句会+俳句よもやま話(15~30分程度)をすることを提案した。次回は、まず高屋窓秋の声をテープにとったものがあるので(病臥の折笠美秋をはげますもの)、それを聴いていただくつもりである。そして、協会の方からDVDが見られる装置が借りられるようであれば、攝津幸彦の生涯(一周忌に作られたもの)や眞鍋呉夫の「不戦だから不敗」なども見ていただきたいと思っている。ともあれ、以下に一人一句を挙げておこう。


  ぶらんこの向うを歩くくじらかな       石川夏山

  あゝわたし生きてる春の大動脈        林ひとみ

  憲法記念日ちょっとぐらつく永久歯      川崎果連

  ハンカチは白と決めてた頃もあり       植木紀子

  ゆく春が乗換へ駅を変へてゐる        山﨑百花

  流氷消えサーカスの来る名画座跡       赤崎冬生

  父の日やポロシャツなんか欲しくない     武藤 幹

  初蝶や頼みもしない喜寿の来る        村上直樹

  山葵(さび)抜きの寿司みてえなり今日この頃 石原友夫

  立ち漕ぎでわたる大橋春の虹         白石正人

  ウニ割の傍でシタダミ取る子かな       杦森松一

  何億年眠ればよいの詩語の春         大井恒行


 次回、5月19日(金)は、テーマは「方言で俳句を作る」2句持ち寄りです。わかりづらい方言には(  )カッコで注を別に入れて下さい。



★閑話休題・・折井紀衣「日本のがらんと暗き野焼きかな」(「禾」第17号)・・

「禾(のぎ)」第17号(編集室・折井紀衣)同人4名、「禾のふみ」は藤田真一「流離八詠」。その藤田真一は「あとがき」に、


 年末BS1で、立花隆の足跡と思想を報じる、「見えた何が永遠が」という番組を見た。(中略)

 すべて、人間とは何者か、おのれ行先はどこか、という根源的な問いに向けられる。そいて出された結論は、一語でいえば「無」だった。死後は何もするな、骨もごみとおいっしょに捨てればよい、が遺言だった。

 しかし、遺族はそうはいかない。骨箱に収めて、その後樹木の許に葬ったという。ただ膨大な蔵書は売り払われ、書棚は文字通り「無」となった。


 とあった。ともあれ、以下に一人一句を挙げておこう。


  燭の灯に木霊ひしめく春の闇      中嶋鬼谷

  繙ゐていつか溺るる魚は氷に      川口真理

    六十年来の心友、七十四歳にて他界

    戒名「梅林租香大姉」

  七生の梅林に風渡りけり        折井紀衣



   撮影・芽夢野うのき「悪行はむかしのことゆえ卯木ゆえ」↑

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