渡邉樹音「散る桜あまたの光の化身かな」(第48回「ことごと句会」)・・・




 先日の4月15日(土)は愚生は都合で参加出来なかったけれど、 3年以上の間を経てようやく開催された対面・リァル句会。第48回「ことごと句会」(於:新宿区役所横歌舞伎町ルノアール)だった(欠席投句は二名)。金田一剛から、早速、その句会報が届いた。兼題hさ」「文」+雑詠3句。以下に一人一句を挙げておこう。



  菜の花の波の緩びに風惑う        渡邊樹音

  いさかいは我に非あり焼野かな      照井三余

  断捨離の茶箱の隅の懸想文        渡辺信子

  逃げ水へ乗り込む原発の棺        江良純雄

  黄砂来る遺品の中の文化欄       らふ亜沙弥

  強面の香具師(やし)風船を子に渡す   武藤 幹

  静寂の古文繙く春の縄          杦森松一

  跨線橋何時(いつ)に渡りし桜桃忌    金田一剛

  さてもさても傀儡(くぐつ)廻しの夏芝居 大井恒行

  

 次回は5月20日(土)、同所で・・兼題は、別途、知らせてくれるらしい。



★閑話休題・・詩誌「Magellan  Future」(マゼラン・フューチャー)02・・

 詩誌「マゼラン・フューチャー」02(編集発行人 本田信次)、「編集後記」の中に、


(前略)時代が困難さをまとえばまとうほど、詩作や思索という営為が「賢明な鍛錬を積んだ肉体が見せる光景を演じられるようにと、その文体でもって摂理する(ベンヤミン)」のであろうか。ともあれ、「心の倦むことなき懸念は現在の瞬間に向かっている」ことをひしひしと感じている。


 とあった。多くが詩編である。本号の執筆陣は、中本道代「金木犀」、季村敏夫「夢の綴め」、添田馨「平和」、奥間埜乃「わたしは形容されない安らいだフィールド」、本田信次「直筆というい所与2-詩的精神とは」「境界」「好きなだけここに」「最高の死と最低の生のはざまで」「ゆめみ」、高橋修宏「日女(ひめ)」。ここでは、以下の一編を紹介しておこう。

ゆめみ                 本田信次

 きょうのぼくはよどまない

 したがって

 かこをかえりみないという

 けついをむねに

 ふうせんでアメリカのそらをとんだ

 モノクロのできごとが

 ものすごいすぴーどであらわれてはきえ

 しんぞうがはやがねをうつ

 にゅうみんのきょうふを

 やわらげるために

 ゆめみがくりかえされるが

 あんじがことばにばけずに

 あさいねむりがおくられる

 つねに

 たびのおわりをうたがい 

 ときどき

 そらをとばせてくれる

 みえないとびららをいつあけようか

 とまどうおとこじょ

 ほんせきちのさかみちで

 かげろうがたちさろうとしているが

 きょうのぼくはよどまない

 ふうせんは

 おおきなかわをくだり

 かげはでんせんのすきまをすりぬける

 おもわずみをすくめようとしたとき

 とつぜん

 めざめてあんどする

 あけがたのふとんにのこる

 みえないおわりのねつ

 

                                             ブルーべリー🌸

         芽夢野うのき「花は実を思う甘さにうまそうな」

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