羽村美和子「戦場にもマクドナルド寒夕焼」(「俳句四季」2月号より)・・・
「俳句四季」2月号(東京四季出版)、筑紫磐井が「俳壇観測」第241回「処女句集の氾濫ー新人が一斉に輩出された40年前の風景」で述べているように、「一月号・二月号で四〇周年記念特集を組んでいる」。特集名は「俳句の未来予測」,10年後を予測せよというものである。磐井氏も愚生も、前編というべき1月号に執筆させていただいたが、本号と合わせて総勢33名になる。それはともかく、ここでは、「豈」同人でもある羽村美和子が「わが、道を行く」に登場して、自選40句が掲載されている。その略歴を見ると、「豈」に同じく所属しながら、愚生は知らなかったのだが、現代俳句協会理事にして、千葉県現代俳句協会幹事長、千葉市俳句協会会長とあったので、愚生よりはるかに現俳に貢献度が高い(エライ!)。その自選句の中からいくつか挙げておこう。羽村美和子は1950年うまれ、愚生と同じ山口県生まれである。
パントマイムも手だけが夏に暮れ残る 美和子
白椿無声映画の中に落ち
すいかずら堕天使の羽干してある
美しい数式次から次へ羽化
国というまぼろし真夜の烏瓜
本号の「俳句の未来」で、特に印象に残ったのは、黒岩徳将の
(前略)毎日、俳句を頭の隅に置く人生になると俳句が楽しくなる。その代わり人生が辛くなるかもしれないが・・・。人を誘う時は地獄に招いている気持である。
であった。ともあれ、本誌から作品をいくつか一人一句(首)を挙げておぃたい。
かざはなと一人が言いて木のベンチ 池田澄子
逝かれしは初冠雪のやうな人 小林貴子
遠景も近景も雪出羽三山 野木桃花
寒月や自転車の妻あらはるる 日野百草
雪の夜夫の揺椅子子が温め 西村和子
白雲を浮かべたるまま青空は昏れて紺青やがて深藍 久々湊盈子
息がかかるほど近くをり春の闇 井越芳子
能面の月華を宿す白さかな 和田華凜
はらわたの熱きを恃み鳥渡る 宮坂静生
とんと吾の名前忘れて父の冬 菊田一平
落鮎を挵(せせ)る女のさみしかり 閒村俊一
「猫八」を偲ぶ初音の二た三度 山本鬼之助
撮影・鈴木純一「大寒の命をつなぐお豆さん」↑
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