岩城久治「六面の一面は詩碑みどりさす」(『さまざまな紙片』より)・・
岩城久治著『さまざまな紙片』(本願寺出版社)、著者「あとがき」に、
小稿は「大乗」に「古新聞・古雑誌など」というタイトルで毎月(平成六年二月号~平成十一年三月号)に掲載されたものである。
ちょとした紙片のメモからでも思い出すことどもがあった。いろいろ調べていくとその記憶の思い違いなどもあった。事実を正しながら一日それで日が暮れてしまうこともあったが、楽しくその日が過ぎた。
このコラムは桂樟蹊子先生(俳誌「霜林」主宰)急逝の後任としておすすめくださったのが玉井利尚氏であった。
とあった。本著ご惠送の便りのなかに、上掲写真の「絵連歌展 2004年11月2日~14日」(ギャルリー石塀小路 和田)の案内のコピーが」同封されていたのだ。20年ほど以前の案内書をわざわざ送って下さったのだ。その理由は、愚生が、かつて十代最後の京都時代に、さとう野火(立命俳句)の世話になっていたことを、どこかでお知りになったのだろう。その夫人であった城貴代美について、「さとう野火氏には、お目にかかったことはなかったですが、城貴代美氏には何度かお目にかかっています(中略) 遊花が城さんです」と、わざわざ知らせて下さったのだ。
なるほど、「ギャルリー石塀小路 和田」の案内ハガキには、「宗匠:高城修三(作家)/執筆:岡本万貴子(書家)/連衆:遊花(俳人)/連衆:宮内憲夫(詩人)/連衆:山田喜代春(版画家)」と記されいる。よい記録である。
ともあれ、以下に、本書より、アトランダムになるが、岩城久治の句をいくつか以下に挙げておきたい。
雪つひに学ばざる日の負債感 久治
悴みてさへ鉛筆を握る形
長靴の水上勉竹落葉
分校の教師にあまる貰ひ酒
雪起し職決めかねつ書類閉づ
螢待つきらりきらりと眼鏡かな
露けしや木屑にひらく舟図面
芽吹きたる島々多し船はしる
春雷や遅き戻りの父を待つ
特集に大作の貌十二月
岩城久治(いわき・ひさぢ) 昭和15年、京都生まれ。
撮影・鈴木純一「去年の実へしきりにかかる今年の実」↑
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