高山れおな「鏡花幻稿総紅玉(ルビ)や蔦嵐(つたあらし)」(「朝日新聞」5月28日、夕刊より)・・
「朝日新聞」5月28日(水)夕刊。高山れおなのインタビュー記事。そのリードに、
高山れおなさんの句集『百題稽古」
俳人で朝日俳壇選者の高山れおなさん(56)が、第5句集「百題稽古」(現代短歌社)を刊行した。和歌の古典で詠まれた題をそのまま使った題詠300句からなる。「酔狂で趣向過剰な試み」と言うが、野心的な挑戦。変幻自在に言葉を操る様は、まるで魔術師のようだ。
とあり、記事中には、
我が狐火(こい)も霜夜は遊べ狐火(きつねび)と
「忍恋(しのぶこい)」の題で詠んだ一句。「恋」を孤独の火、つまり自分一人の中で燃えている火と表現し、冬の季語「狐火」を合わせる技巧を凝らした。(中略)
「百題稽古」は「ほりかは」「永久」「六百番」の3章で構成され、それぞれ100句が収められた。平安時代の「堀河百首」「永久百首」と鎌倉時代の「六百番歌合(うたあわせ)」で詠まれた題を順番通りに使い、俳句に昇華させた。
なぜ、このような「酔狂」に挑んだのか。「19歳か20歳で俳句を始めたものの、新古今集に感じていた陶酔を俳句に覚えたことがなかった。百題作れば、新古今歌人と同じことをやれると思った」(中略)
やはり近現代の俳句ではあまり詠まれてないのが「恋」の句だが、和歌では一大テーマ。「百題稽古」でも70句が恋の題を詠む。
「初恋」の題で次の句。
命とは白シャツ透く君なりき
「別(わかるる)恋」で。
息白き別れは星の匂ひかな
「顕(あらわるる)恋」の題で。
新日記白ければ恋顕はるる
俳句や短歌に触れた句もあり、中にはドキリとする句もある。
題が「躑躅(つつじ)」の次の句。
短歌(うた)は愚痴俳句は馬鹿や躑躅燃ゆ
題が「春雨」の句。
春雨や既視感(デジャ・ビュ)のほかに俳句なし (中略)
俳人として心がけている原則がある。儒教の五徳である「仁・義・礼・智・信」をもじった「甚・擬・麗・痴・深」。意味するところは?
「甚」=甚(こってり)を旨とし(味付けは濃いめに)、「擬」=古詩に擬(なぞら)え(本歌取りとアナクロニズム)、「麗」=麗しきを慕い(姿は美しく)、「痴」=痴(おろ)かに遊び(中身は狂っていて)、「深」=心は深く(深く生きている感じがほしい)。
とあった。
撮影・鈴木純一「になのあと名前を呼ばれるのを待つ」↑
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