澤好摩「列車より新緑の山眺め棄て」(「円錐」第109号より)・・ 


 「円錐」第109号(発行人 山田耕司)、本号は「発表 第十回 円錐新鋭作品賞」、選考・評は、赤羽根めぐみ「書き続けるという約束」、山田耕司「俳句でなければ辿り着けないところ」、今泉康弘「魂の救いとしての俳句を求めて」。新鋭作品賞は、

灰雪賞(赤羽根めぐみ推薦)
  公共の場と言へるのだらうかじぶんひとりの公園は  植田遥大
白桃賞(山田耕司推薦)
  流星に何かの許可や電話来る            田村転々
白泉賞(今泉康弘推薦)
  ひとさじにほぐるる肉や春の泥          沼野大統領


 その他、原雅子「書評『澤好摩俳句集成』/載らざる一句」、今泉康弘「神戸、流れてどうなるのー西東三鬼・『神戸』・『冬の桃』 第三回」、特集に「原田もと子『書きかけの葉書』」への論考が表健太郎「素晴らしき〈途中感覚〉」、紺乃ひつじ「誠実な抒情」など。
 ともあれ、本誌より、他のいくつかの句を挙げておこう。

  ジュラルミンケースに虹を持ちあるく       原田もと子
  そのバスに乗れ戦場へ連れてゆく          味元昭次
  
  (おぼろ)より
  木霊(こだま)
  言霊(ことだま)
  生魑魅(いきすだま)               横山康夫

  股肱ゆゑ暴力を愛することを誓ひます       摂氏華氏
  駒鳥のこゑころくる上総山            丸喜久枝
  戦前や恋や自裁や囀れる             風野 綾
  ほらここならデイジーだらけ殴れよ今       山田耕司
  春の昼取り壊される町工場           大川原弘樹
  降りだしぬなほ雪でなく雨でなく         小林幹彦
  馬車来来(マーチョ ライライ)呼ぶ声は母満州里 大和まな
  砂浜のうすき足跡啄木忌             後藤秀治
  神の火を盗みにいって帰らない          森下 菊
  母の膝に猫を預けて雛納             土屋幸代
  いいえ・これはマカロニの形をした悲劇です    立木 司
     萩の葉はこがねに散りてもう何もかなしむことのなき秋の果て 大久保春乃
  何の鳥だろう 私の手に眠る           今泉康弘
  人に人差し指E.T.にイティ差し指       神山 刻
  乾風に洗濯物が骨のやう             吉冨快斗
  花時に来えへん杜の神籤売り           矢上新八
  シャガールの馬なら乗るよ冬の蠅        和久井幹雄
  光っている春の波となってしまいたい       来栖啓斗
  水温むくつくつ笑いつづく鍋         赤羽根めぐみ 

  


★閑話休題・・小川幸子「風薫る地球と転(まろ)ぶ子等よ子等」(第一回「多摩塾句会」)・・


 5月11日(月)は、第一回「多摩塾句会」(於:ルミエール府中)だった。兼題は「風薫る」を含む三句持ち寄り。以下に、一人一句を挙げておこう。

  薫風や母逝きし日の空の青         吉田久美  
  朝だ朝だね朝だよ朝だ鳥の朝       早川ひろ美
  山よりの風に躑躅や海の音         富山 勉
  らっきょうの薄皮をむく手に風渡る     篠木裕子
  子の指がおずおず撫でる静脈瘤       中西雅子
  入院の日にち決まりて花水木        森 和子
     雨上がり街路に映えるハナミズキ      花見育子
  深更に松明かざし時紡ぐ          小川幸子
  風香る異国で触れる人の笑み        上阪則子
  見果てぬは流眄(りゅうべん)の火か風薫る 大井恒行


       撮影・芽夢野うのき「蒼く吹くこの風は皆青嵐」↑
    

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