各務麗至「つひに一人かの世に落ちてふぶくかな」(「詭激時代つうしん」14)・・
「詭激時代つうしん」14(詭激時代社)、巻尾の「霹靂……」に、
心筋梗塞をやってから、もう十年を越えている。そんな十年来、掛かりつけ医に診察を受けて薬を貰ってきていたから、何か心臓や身体に違和を感じるようなことを、その都度その都度診療診察時に話してきたのだったが…‥‥。
毎月二回の受診日には聴診器を当てたり血圧を測ったり心電図を撮ったりしてくrふぇて、心筋梗塞の手術をしてステントが入っているのだからだろう、こんなものか、先生いつもの「いいですね」に、少々苦しいのも「こんなもの」と思って生活して来た。(中略)
十月の通常診察時に、昨日久し振りにニトロを服用したのや胸の異様感を言ったのだったが、ニトロで治まっているなら、といつもの「いいですね」のそこまでだった。八日にも、いつもとちょっと違うぞ、と、続けて通院受診して、昨日のあの後の夕食時や睡眠時にニトロを、それも三度服用したのを伝えた。(中略)
その日、月命日に一日早いが、兄が訪れ、その時の話の流れで、ニトロ服用するなど普通でないだろ、そんな医者に気ぃ遣わず別の医者にいけ、ということになったのだった。(中略)帰路の途中に兄の言っていた「ハートクリニック」があって、帰ってもまた一人で時間もまだまだ二時過ぎだから……、そうだそうだと、診察を受けることにしたのだった。
血圧や採決に心電図にCT検査の後診察問診があり、
先の医院で話した同じ違和感的状況を話した。先生は検査データを見ながら、「総合病院への紹介状を書くから行くように」と、それも明日とのことだった。翌日―-十月十日(金曜)総合病院へ、九時と書かれてあったので三十分ほど早くに行った。(中略)
パソコン画面やカルテに検査データを見ながら、先生は「直ぐやりましょう、入院して下さい」と、言ったのだった。私は一瞬訳が分からなかった。 (中略)
先生から手術経過の説明を聞いた兄の言うに、冠動脈ステント部は完全に詰まっていて、その先は真っ黒。腕からの一ヶ所でなく足の付け根からも、それも何度も何度も色々な方向からゆっくりゆっくり進んで行き梗塞部分にふうせんを入れてやっと血流を回復させたらしい。術後の心臓を見せて貰って、真っ黒だったのが嘘のようにきれいな心臓で、涙が出て、兄は先生に思わず「ありがとうございます」と頭が下がったなぁ、と言っていた。
とあった。ともあれ、以下に、本冊子より、いくつかの句を挙げていおきたい。
寒椿までの二千五百歩克己 麗至
息白く挨拶九回元気元気
たとへば死どこから来たり冬の風
御彼岸会永代供養堂静寂
大ゆふやけわうごんいろにつつまれて
戦没は今もありけり夏燦々
清秋や一病息災塩持つてこい
おつとどつこい死ぬだつた晩秋
霜月忌声なき声をたづねけむ
★閑話休題・・川村恵子「秋夕やけ豆腐屋のラッパ淋しかり 」(立川こぶし俳句会)・・
11月14日(金)は、立川こぶし俳句会(於:立川市女性総合センター アイム)だった。以下に一人一句を挙げておこう。
霧深し諏訪湖がまんの息づかい 尾上 哲
風さやか楓色づく髄宜園(ずいぎえん) 山蔭典子
柿すだれ夕日の色を吸ひつくし 伊藤康次
姉想う秋音(しゅうおん)とあり戒名に 川村恵子
冷えし夜半深夜ラジオの旧き歌 大澤千里
高幡寺太鼓の響き鱗雲 和田信行
木星を奏でる星座星月夜 髙橋桂子
目玉焼きとろりと崩れ冬めける 井澤勝代
人の死を悼み集うや秋暮るる 三橋米子
帰る日の父の風景雪の暮 大井恒行
撮影・鈴木純一「針穴をとおせば浄土くっきりと」↑


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