中村堯子「海面に暗き膜あり鵙のこゑ」(『布目から雫』)・・

 

 中村堯子第4句集『布目から雫』(ふらんす堂)、「あとがき」には、


 『布目から雫』は、「ショートノーズ・ガ―」につづく私の第四句集です。平成二十四年より令和五年までの作品から三三一句を選び一集としました。

 句集名は、〈四万六千日布目から雫〉の一句から貰いました。


 とあった。愚生好みに偏するが、いくつかの句を以下に挙げておきたい。


  胡瓜揉む苛つく日の苛つく指         堯子

  老班を手の花柄に冬ごもる

  船出あるほかは花木もなき遅春

  蝶々の流し目上手吸ひ上手

  渇きゆくしかなし雨後の蟻地獄

  俎板始ぐにやぐにやのものぐにやり

  春寒し同じところで跳ぶ烏

  日は無音五色椿に花少な

  さよならといふ語はひろし鳥渡る

  アスファルト打つ雨硬し鳥の恋

  章魚に疣写真いつしゆんごとに今


 中村堯子(なかむら・たかこ) 1950(昭和20)年、京都生まれ。



★閑話休題・・西川百百代「七五三写真の吾子は母となり」(「朝日俳壇」2024年12月8日より)・・


 朝日新聞・12月8日(日)「朝日俳壇/大串章選」の10句目に入選した句である。聞けば、「豈」同人中島進の奥方らしい。目出度い!! たぶん、七五三のお参りに際して、記念に撮った家族写真の一枚をご覧になっていて(あるいは飾って置いてある)、その娘もいまでは母になっている。つまり、娘の子・孫の七五三のお祝いをされ、色々のことを思い出されているのだろう。それが感慨深いのだ。

  


      撮影・中西ひろ美「ふれもせで並ぶ祠の冬ふたつ」↑

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